植物由来の次世代バイオ・リサイクル燃料「バイオコークス」の開発を進めている近畿大学(大阪府東大阪市、畑博行学長)は、理工学部の井田民男准教授らの研究チームが、平成20年度経済産業省委託事業「低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会システム実証モデル事業」の採択を受け、北海道下川町などと協力し、同町に自生する「イタドリ」などの植物をバイオコークスに加工してビニールハウスの暖房用燃料に活用(重油・灯油を代替)することで、一次産業への依存度が高い小規模都市における「低炭素化」モデルを実証するプロジェクトに取り組んできた。
 2009年末から2010年春にかけて、地元農家の協力を得て、ビニールハウス暖房の燃料を重油・灯油からバイオコークスに切り替えたうえで、実際にトマトを栽培しながら、各種データを記録した実証実験が終了し、以下の研究成果がまとまった。
(1) 灯油/重油ボイラーから固体燃料ボイラーに転換を行い、4カ月間、運転を行うことに成功した。
(2) 同期中、約10トンのバイオコークスを消化、ハウス温度を約20℃に保持し、トマト栽培に成功した。
(3) 灯油/重油を使用した場合と比較して、バイオコークス利用により、CO
2約6トンの排出削減に成功した。
(4) これらの結果から、冬期の加温ハウスエネルギー源を重油/灯油からバイオコークスに転換することによる「低炭素農業」の実現が可能であることを実証した。

下川町環境共生型モデル住宅「エコハウス美桑」
 

 平成21年度に環境省による補助「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」のもと、下川町で伐採された木材の活用や地元の職人の手により、高気密・高断熱を実現した環境共生型モデル住宅「エコハウス 美桑(みくわ)」を建設し、訪れた方々に様々な体験などをしてもらい、住宅環境対策に関する普及啓発活動を展開している。
 美桑は、平成22年6月にOPENし、現在、施設の見学、セミナーハウスとして使用され、宿泊など、様々な体験をすることができる(有料)。


          エコハウス美桑 外観と室内



   エコハウス美桑の隣接地に五味温泉があり、これまたグーです
 温泉の加熱、給湯、暖房に木質バイオマスボイラ(スイスSCHMID製)
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 下川町は北海道の北東部に位置し、旭川から100km車で約1時間40分にあります。冬はマイナス30℃、夏はプラス30℃以上になる気温変化の厳しいところで、面積は644.2?に及び東京23区と同じ広さに約4000人近くが暮らしています。
 町は9割が森林に覆われ、恵まれた森林資源と豊かな自然に囲まれ、森林・林業を基盤として循環型森林経営システムを構築しながら、地域産業と雇用の創出を図るとともに、道内初となるFSC森林認証の取得や木質バイオマスエネルギーの活用など環境に配慮したまちづくりを進めています。
 町が目指すCO
2削減目標の2020年には、1990年を基準として森林などによる二酸化炭素の吸収を約33倍とし、二酸化炭素の排出量を約16%削減しようと、また2050年には森林吸収を約4.5倍、二酸化炭素の排出量を66%削減し、さらなるカーボンマイナスを目標としています。
 こうした取り組みが高く評価され昨年7月、国の「環境モデル都市」の認定を受け、地球環境を守る鍵である森林バイオマスを総合的に利活用することによる産業の創造と雇用の創出を図り、地域の活性化を推進し、温室効果ガスの大幅な吸収及び削減による「低炭素社会」の構築を図ろうと推し進めています。
 町は過疎の進行と産業の停滞に危機感を抱き昭和56年度から始めた「ふるさと運動」をきっかけに、手づくり観光資源日本一をめざす町民の手による「万里長城」の築城や北海道の冬の風物詩となった「アイスキャンドル」など住民参加型の多彩なアイディアによるまちづくりを進め、都市住民との交流促進など様々な取り組みを行っています。こうした取り組みの中から「手延べ麺」「トマトジュース」「木炭関連製品」など多くの特産品を生み出して好評を得ています。
 なお、スキージャンプにおいて、小中高生の一環教育のもと、多くのオリンピック選手を輩出している町で良く知られています。
 まとめとして木原主査は、行政として推進している各項を次にあげた。
■環境関連の取り組み
・持続可能な循環型森林経営
・ゼロエミッションの木材利用システム
・FSC森林認証取得による地域材の活用と管理
・木質バイオマスエネルギーの活用
■環境モデル都市認定と具体的な取り組み
・次世代型「木の森林共生低炭素モデル社会」創造
■具体的なアクションプラン
・森林バイオマスエネルギーの導入
・BDF(バイオディーゼル燃料)の推進事業
・期待される新たな技術革新の取り組み
 バイオコークス、ヤナギの新用途開発、
・環境共生型モデル住宅「エコハウス」の整備
・二酸化炭素吸収量活用による森林づくり
・エコ暮らしの推進 など
 これから目指すべき下川町の姿として、これまでの「森林づくり」を基盤として、主体的に二酸化炭素の排出削減を進めるひとつの手法である「カーボンオフセット」の推進、森林バイオマスエネルギーによる地域熱供給システムの導入、公共施設への森林バイオマスボイラの導入等の先進的取り組みを行ない、地球環境を守り森林バイオマスの総合的な利活用と、地域住民・都市・企業との協働・連携を促進し、地域産業の振興、快適な生活環境づくりを地球温暖化対策に結びつけた次世代型「北の森林共生低炭素モデル社会」の創造を目指すとしている。

アイスキャンドルフェスティバル
 町も自然も、白一色に覆いつくされる厳寒の2月、
町中があたたかくゆらめくキャンドルの灯りで輝き
ます。夕闇が迫るころ、会場を埋め尽くした5千個
のアイスキャンドルに一斉に灯がともされ、北国な
らではの幻想的な光の世界が出現します。

~次世代型「北の森林共生低炭素モデル社会」の創造を目指して~

町と町民の手作りおもてなしスポットあれこれ―――――――――――――――――――――――――――――

新たな技術革新「バイオコークス」――――――――――

→また、今回の実証実験では、下川町に自生するイタドリなどの草本バイオマスだけでなく、木くずやジュースの搾りかす、もみガラなどから製造したバイオコークスも燃料に用い、いずれもハウス加温が可能であることを実証した。
 近年、農業における低炭素化、とりわけ冬期の加温ハウスでのCO
2排出削減は、世界的なテーマとなっている。井田准教授は、今回の成果について「バイオコークスをエネルギー源とする低炭素農業・CO2循環型農業が今後、北海道のみならず日本各地、さらには世界各国へと拡大していく可能性を示している」と話している。
 実用化へ向けた最大の課題は、バイオコークスの価格をはじめとする経済性にある。研究チームでは今後、コストパフォーマンスの向上と年間を通じてのハウス栽培(夏季・クーラーによるトマト栽培)の実証、さらにバイオコークスボイラーの性能向上とコストダウンを推進し、市場導入を検討していく予定である。
「イタドリ」路傍や荒地等に生育するタデ科の多年生植物。

バイオコークス製造装置を車載したトラックと手前に原料となる「イタドリ」

アクションプランの主なものを紹介しよう

町内の温泉施設「五味温泉」

環境モデル都市を掲げる下川町を訪ねて

一部写真及資料出典:下川町Webサイト他関連サイトより WOODFAST '10-10

下川町ホームページ http://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/

アクションプラン(行動計画)の全体像

 前編に掲載した下川町森林組合の取材後、下川町役場(北海道上川郡下川町幸町63、安斎 保町長、TEL01655-4-2511)を訪ね、地域振興課環境モデル都市推進室の木原利幸主査に同町が掲げる環境モデル都市推進の取り組みについて説明を聞いたのち各施設を案内してくれた。

町の構想について熱っぽく語る木原利幸主査

万里長城
 町を一望する桜ヶ丘公園に、延々2000メートルにわたって
続く「万里長城」は、下川町が日本一を誇る町民手作りの石
垣です。1986年からコツコツと町民が積み上げ、町の開拓
100年にあたる2000年に達成しました。大きな石がぎっしりと
積み重ねられ、積み上げた人ひとりひとりの名前が刻みこま
れた石垣からは、町民たちのふるさとを愛する熱い想いが伝
わってくるはず。


しもかわ探索マップでもっと探求してみては如何でしょうか?
  http://www9.plala.or.jp/shimokan/pdf/oideyo_3.pd

下川町地域間交流施設「森のヨックル」
 設備の整った独立したコテージが用
意してある。家族、親戚、仲間同士バー
ベキューをしたり、ヨックルを拠点として
観光をしたりと、のんびりと過ごせる施
設。
1棟6,000円/泊~長期滞在、田舎
暮らしにいかがですか。


装置車載トラック後方から(左)       車内後方より左右に撮る(中2枚)           バイオコークス見本