形式:AH-AP10

森林と農業をつなぐ、環境にやさしいシステム新開発

木質ペレット焚ハウス用温風機

矢崎総業株式会社環境エネルギー機器本部環境システム事業部事業推進部を訪ねて

梼原町(高知県)は2009122日に政府より環境モデル都市に選定された。人口約4600人、総面積237 k㎡の小規模市町村。
 2050年に二酸化炭素量の吸収量が排出量を大幅に上回る山村社会として「森の資源が循環する公民協働の生き物に優しい低炭素なまちづくり」を宣言した。
 温室効果ガス排出量を2030年に50%2050年に70%削減、吸収量を2030年に3.5倍、2050年に4.3倍(1990年比)にすることを目標としている。公民協働の木質バイオマス地域循環モデル事業の実施によって、山村型低炭素社会の実現と地域資源利用による電力自給率100%超を目指している。

■同町は、北と西を愛媛県に接し、雄大な自然景観の四国力ルストをもつ四国山地に属する。町域の91%を森林が占め、町を流れる梼原川沿いに集落が点在する静かな里山だ。
 町の東にある太郎川公園は観光や森林セラピーの拠点。園内には、雲の上のホテルや雲の上の温泉など、「雲の上」の名を冠した施設が並んでいる。周辺には森林生態学習館や津野山神楽の回り舞台が付いたきつつき学習館、くさぶき民家の食堂などもある。
 久保谷ロードは、太郎川公園から南へ25kmに位置する鷹取山の原生林を背にした緑深い地にある。なかでも88万㎡を占める国有林には、モミ、ツガを主とした樹齢数百年の立木や切株が群生し、独特の景観をつくっている。

■同町の林業面積は、総面積の91%を占め、その73%が人工林で、森林の保有規模は、5ha以下の小規模経営が大半を占め林地が細分化されている。森林資源は、スギ、ヒノキの人工林を主体に成熟しつつあることから、各種の補助事業を導入し、間伐の促進、林内路網の整備、高性能林業機械や加工流通施設の整備充実に努めている。
 さらに、林業の担い手である森林組合や林業者で組織する団体の育成強化を図ると共に、造林、保育から生産まで一貫した施業を積極的に行っている。  一方、森林、林業に対する要請は生産財だけでなく、保健、文化、教育活動など環境財として多様的かつ高度化しており、水資源の涵養など森林の有する公益的な機能を維持拡大するため広葉樹林化や複層林化にも努めている
      参考資料:梼原町Webサイト・梼原森林セラピー総合サイト

WOODFAST 2011.1

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'10年東京ビッグサイトで開催の「エコプロダクツ2010」展に初出品のペレット温風機

■矢崎総業が取り組んだ “雲の上の町ゆすはら” の紹介

 自動車部品をはじめ、電線、ガス機器、空調機器メーカーで海外のグループ合わせて18万名余の従業員を要する大手企業の矢崎総業(株)環境エネルギー機器本部(静岡県浜松市南区東町740、矢崎信二社長、TEL053-426-3815)の環境システム事業部事業推進部長の庄子努氏を訪ね、2008年に発売した木質ペレット焚バイオアロエースと2010年11月に新発売した木質ペレット焚ハウス用温風機について経緯を聞いた。

庄子部長に製品開発について聞く
 
             今、日本の木材利用率が50%
         も満たないという状況から05年
         から高知県の梼原(ゆすはら)町
         で、木質バイオマス地域循環利
         用モデル事業に取り組み、環境
         モデル都市に指定されるところ
         までになった。その中の一つに
         自然エネルギーの有効活用を目
指し、観光客を含めて外部との交流を増やし、またはIターン、Uターンの人たちを迎えて過疎化対策を考え、森林や林業の当面の課題について実証して行く方向で取り組んでいる。
 当社の経験則から、森林から木材を伐採する林業機械の高性能性化もますます必要とみている。伐採した素材を合理的に加工する機械装置の高性能化が言われ、従ってそれらを包括する事業として所管する省庁が中心となって、木材加工団地の高度化などに向けた補助事業整備等が全国的に拡がりをみせている。
 それらとは別に未利用材の利用を如何に進めるかの課題に対して、当社で検討したことはごく一部かも知れないが、バイオマス利用によるエネルギー化を進めようと事業計画を立て、木質ペレット製造設備を導入。期待している日本で、いや世界で一番いいペレットを作る––をテーマにした。しかし熱効率を上げるための最良のペレットの材料は、またサイズや形状によって時間当たりの生産量が変わってしまうなど、より良い成分のペレットを求めている事業の主旨になかなか沿ってこなかった。一言でいえば一番いいペレットを作りたいのだが、現状の機械メーカーでは設備・稼動させ、検収まで一連の納入作業で完了となる。しかし我々が考えている機械設備とはどこかギャプがあり、今もその状態を引きずったままとなって解決していない。その辺りが相互理解していない部分として残っている。
 自治体等が生産設備を指導される場合は、専門知識としてプロではない部分があるが、我々はプロとして地域とネットワークを組んで、その地域に一番適合するベストなエネルギーを木質利用による有効な手段として活かすことにある。
 このことは決してガスが悪いとか石油が悪いではなく、当社が基本的なコンセプトである“森林再生に基づくピュアな原料”から作られるペレット、バイオマスエネルギーに拘っているのだ。企業として日本経済を担う一環として環境のことで何が貢献できるかを問えば、日本の森林資源から地域で循環できる仕組みを作ることが目的である。あとは地域ごとに条件も異なるから、国、県、自治体そして我々企業と取り組むことが大切なことと考えている。
 木質ペレットも他の燃料と同様に、冬場はボイラやストーブ需要があっても夏場は需要が減り平準化ができない。そこで冬季は暖房、夏季は冷房の両用可能なペレット焚空調システムを2008年3月から発売している。次に林業・農業の連携スキームで2010年11月から発売した木質ペレット焚ハウス用温風機は、冷暖房システムの技術の連用で野菜や果物を栽培する農業用ハウスの加温を行なう新しい製品。
 販売ルートについては、今までの製品を通してJA、商社、エネルギー事業者ルートに実績があるから、そのネットワークを活用して行く予定だ。同機の販売店については、販売する人が責任もって施工とアフターケアまで一貫してできる所と協力してチャンネルを整えて行く考え。販売台数も増えれば機械の価格もコストダウンもできるが、それよりもペレットが安定して供給できる生産体制を整えることが、先々のエネルギー価格の変動にも左右されない安定したシステム作りが先決と考えている。終りに今後構築しなければならない点として、燃焼灰の処理と利用を如何にするかまで視野に入れて企業として責任ある活動範囲として行くかに掛かっていると思っている。
参考資料:同社カタログ・http://www.yazaki-group.com/

2008年発売の空調システムアロエース