観光都市で知られる飛騨高山に観光に次ぐプラスアルファ事業に育てようとバイオマスタウン構想を立ち上げ、漸く初期段階のペレット生産が軌道に乗り始めた木質ペレットメーカー木質燃料株式会社(岐阜県高山市国府町蓑輪81、清水裕登社長、TEL0577-72-5877)を訪ね清水社長(写真)に経緯を聞いた。

まず、木質ペレットの製造事業を始めたきっかけは……
3年ほど前に原油が高騰した当時、地元の高山グリーンホテルに重油焚きから木質焚きボイラーを導入してはと提案をしたが、敷地や既存の施設を改造するにはスペースが足りないことが分かった。ではペレットボイラーにしては、と再提案の資料を整えようとしたタイミングに偶然にも、木工・産業機械商社潟tクモトの和仁氏からペレットボイラーの勧めがあり、ペレット焚きなら需要側と供給側双方が環境問題に対応できるバランスの取れた燃焼装置として相応しいことが分かり、内々にペレット製造設備について検討を始めた経緯があった。
とにかく最初から環境とかペレットありきの話ではなく、需要者であるホテル等の施設では今後の燃料について化石燃料に代わるエネルギーの模索、カーボンニュートラルエネルギーによるCO2削減や排出権取引き等々に取り組まなければならないなど至近の課題と重なり、木質ペレットなら環境負荷に対応できるとしてスタートした。
しかし生産拠点となる工場をどうするかであった。当然、工場建設となれば多額な資金投下は避けられないという難題に、たまたま地元の大手ドアメーカー潟Rムラックスの国府工場が生産の集約化を図るため、本社工場(高山市清見町)へ統合した。幸いにその敷地と工場がそのまま賃借できることになった。が、これで物事万事諸手を上げて万々歳ではない。ペレットを生産する拠点の目処は何とか付いたが、その間約半年、市場調査と営業を兼ねて和仁氏と二人でペレットの需要見込み客となるホテルや温泉施設、学校、福祉施設等にペレットボイラー又はストーブの設備とペレットの安定供給を約束する売込みを図る提案書を持って周った。
結果、大口需要家先として高山グリーンホテルと飛騨亭花扇の2箇所が決まり、ペレット生産設備も整い現在順調に両社のボイラー設備も稼動し、ペレットの定期的な納入も始まっているほか、一般用に10kg入り袋も普及が始まってきた。
このあとで大口需要先のホテル2箇所は当工場から近いところにありますから是非、現場を見て下さい。
社長はペレット事業に携わる前は何を……
私は行政書士と家業が銭湯「鷹の湯」(高山市宗猷寺町107)を経営する三代目の現役です。銭湯は長年に亘り湯焚き釜は木を燃料として扱いますから、昔から焚物には苦労してきました。ボイラーについては全くの素人ということではなく当湯でもペレット焚きボイラーを導入しました。今、「グリーン熱証書」発行のデータを採っているところです。ということで木を焚くことについて、営業マンとして多少説得力はあるのかなと思っています。今後の課題として全国にかなりの数のペレット工場はありますが、当工場も事業体として成功例として認めてもらえるよう努力するのみです。
観光高山にさらに加えたい環境事業
この工場が核として高山全体がグリーンエネルギー都市として、エコツアーの創造や地産地消システムの構築、循環型地域社会環境や雇用にも大きく貢献できることを願っています。今は単純に石油の価格と比べて判断される状態で、どちらが安く付くかが論点でしかなく、環境に対する付加価値までを理解するに至っていない現状を、如何にいい環境を後世に残すかが問われ始めていることを、訴え続けなければならない事業であると、或る意味では宣教活動にも似た説得力をもたなければならない状況にあると思っています。
高山市は国内、外から年間400万人の観光客が訪れる観光都市であり、伝統的町並みや豊かな自然に恵まれている。木質バイオマスボイラーが導入されるホテル等は観光客が多く訪れる中心市街地にあり、「環境先進都市」という新たな観光資源の創出につながる可能性を高く掲げたいと願っています。
「グリーン熱証書」
太陽熱や雪氷などの再生可能エネルギーによって生成された熱(グリーン熱)のうち、地球温暖化を防止する価値に当たる部分を「環境価値」として証書化し、販売できるようにしたもの。グリーン電力証書の熱エネルギー版。証書を購入した個人や法人は、自身のエネルギー消費や生成において「再生可能エネルギーを利用した」と見なされる。北海道で雪氷分野におけるモデル事業が行われたほか、東京都で太陽熱分野における制度が始まっている。しかしながらグリーン熱証書制度普及に向けた課題も多い。
グリーン熱証書の考え方は、グリーン電力証書に準じる。一般に太陽熱・バイオマス・雪氷などでグリーン熱を生成する場合、化石燃料を用いるよりも余分にコストがかかる。だがこのコストは、地球温暖化を防止する価値(環境価値)と等価であるとも考えられる。このコストを証書化して販売し、収益を得ることにより、化石燃料と同程度のコストでグリーン熱を生成できる。一方証書を購入した個人や法人は、自身のエネルギー消費や生成において再生可能エネルギーを利用したと見なされる。
―――――――――ペレット生産の主な流れ――――――――――
第1・2サイロ及びバグフィルターとドイツ・ヴァイマ社製原木破砕機 (井上電設(株))
ペレットボイラー20万kcal/h
10kg定量袋詰め機
観光都市飛騨高山で、バイオマスタウン構想を掲げる
木質燃料株式会社を訪ねて
ペレット輸送自家用バルク車

ペレットボイラー50万kcal/h1基
ペレットボイラー導入の実証例紹介―――――――――――――
公衆浴場で全国初のペレットボイラー導入 「銭湯 鷹の湯」

――――――――――――――――――――――――――
ペレット造粒機(同)
ロータリードライヤー(褐苒r鐵工所
フレコンバック500kg定量袋詰め機
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ペレットボイラー25万kcal/h2基
――――――――――――――――――――――――――
【会社概要】
事業内容 木質ペレット及び木質燃料の
製造・販売
代表者 清水裕登
資本金 1500万円
事業費 約2億円(1/2補助事業)
本社工場 岐阜県高山市国府町蓑輪81
TEL 0577-72-5877 FAX 0577-72-5822
会社設立 平成20年7月
工場完成 平成20年12月
製造開始 平成21年1月
従業員 6名、シルバー1名
現生産量 170トン/月
目標生産量 2500トン/年
主原料 スギ間伐材及び林地残材ほか
清水裕登氏プロフィール
昭和37年9月 高山市生れ
愛知大学法経学部卒
行政書士
趣味 囲碁、山登り

平成21年1月、高山初のペレット焚き給湯
ボイラーの稼動開始、「環境省平成20年度
地球温暖化ビジネスモデルインキュベーター
事業」の助成を利用しボイラーを複数台申請
した中の1台。CO2削減価値化(VFR)を盛り
込んだ「オンサイトグリーン熱供給によるグリ
ーン熱証書発行基盤整備事業」として設置。
飛騨亭花扇
URL http://www.hanaougi.co.jp/
500kg入りフレコンバックでサイロに
ペレット供給中
事務所及び倉庫棟
各種原料によるペレットのサンプル
出荷を待つ500kg入りフレコンバックと10kg入りペレット
ペレットサイロ(約7d)、右貯湯槽80d

清水社長が経営する銭湯鷹の湯でも、上記の花扇と
同じく「環境省平成20年度地球温暖化ビジネスモデル
インキュベーター事業」の助成を利用しボイラーを複数台
申請した中の1台。CO2削減価値化(VFR)を盛り込んだ
「オンサイトグリーン熱供給によるグリーン熱証書発行基
盤整備事業」として設置した。


高級料理旅館 飛騨亭花扇
1.2mに玉切りした原木
WOODFAST '10-11
資料出典:提供資料のほか一部写真などは関係先Webサイトより
本編の取材に際して、主要設備の納入及びメンテナンスを担当する潟tクモト高山営業所の和仁 忠 所長代理に案内をいただき感謝します。
ペレットの原料になる間伐小径木ほか
原木を1.2mに玉切り用チェンソー



2カット合成写真
県下最大級のホテル高山グリーンホテル

