徳正修一
野呂田厚司氏
中村雅俊氏
「緑の循環」森林認証(SGEC)で
林業再生に取り組む紋別市
SEGC製品のマーキングとラベル
出荷を待つSGEC製品
製材製品
製材機投入の前
製材工場の土場に置かれたSGEC材
木造のため冬季は結露も少なく牛に快適な環境
JAオホーツクはまなす農協 哺育・育成預託牧場
現地にて実演作業の模様 (提供写真)
竪穴式コンビネーション遊具
海と大地の遊び場 ジャンプ山
屋根の構造
屋内活動室
あおぞら交流館 (市内)
海洋交流館前に展示した初代「流氷砕氷船ガリンコ号」(市内)
総トン数/390t/全長24.9m/全幅7.6m/深さ2.3m/速力3ノット/氷厚20~70㎝/定員70名
同船の特徴/ネジを回すと食い込んでいくアルキメデスの原理を利用した巨大な4本のアルキメデイアン・スクリュー/建造三井造船㈱
昭和62年から平成8年3月まで10シーズン、延べ8万人の観光客に活躍した。船名のガリンコ号とは、流氷をガリガリ砕いて進むことから名付けられた。
WOODFAST 11.8
大山山頂から見た紋別市街と漁港からオホーツク海
紋別市プロフィール
 北海道紋別(もんべつ)市はオホーツク海沿岸のほぼ中央に位置し、総面積870㎡の広大な行政区域の約80%を森林が占める。海・山・川・湖沼に囲まれた自然環境豊かな地域である。
 同市の歴史は古く1685年(貞享2年)に松前藩が海産物の交易のために開いた宗谷場所の出先、紋別御用所として開かれ、昭和に入り東洋一の産金量を誇った「鴻之舞(こうのまい)金山」の発見や北洋漁業等の一次産業を中心に発展し、昭和29年(1945年)には紋別町、渚滑(しょこつ)村、上渚滑村の合併で、北海道19番目の市として誕生。最盛期には4万2000人を超える人口を有していた。しかし、同市を取り巻く社会背景は大きく変貌し、住友鴻之舞鉱山の閉山、漁業専管水域二百海里規制による減船、国鉄名寄本線及び渚滑線が廃止されるなど、経済環境の著しい悪化は過疎化を招き人口は2万5000人を下回るまで減少している。

緑の循環森林認証で地域おこし協議会の設立
 現在、紋別市は「流氷と大地の恵みを活かし、人が輝き躍動するまち、もんべつ」を都市像とする、第5次総合計画に基づき地域活性化のための施策を展開している。
 豊富な漁業資源であるカニ、ホタテ、サケ、雄大な大地に育まれ生産される牛肉・牛乳など紋別産品の地域ブランド化を図り、観光産業などへの連係を見据え取り組んでいる。
 そうした中、平成15年(2003年)に圏内のSGEC森林認証制度が発足し、行政区域の8割を有する森林を活用し、森林認証を環境のブランドとして海や大地の恵みに繋げることができないかという思いを、平成18年(2006年)1月に地域林業関係者に留まらない市内各業界や網走支庁(現、オホーツク総合振興局)、東京農業大学など23団体から成る「緑の循環森林認証で地域おこし協議会」を設立した。(「市政」2011-vol60、「森から海への連環・森林認証で地域活性化を!」宮川良一市長寄稿より一部抜粋)

リグナ・ハノーバーツアー参加の中村雅俊係長を訪ねて
 リグナ・ハノーバーツアー参加者の一人で紋別市役所産業部農政林務課林業振興係の中村雅俊係長を訪ねた。当日は野呂田厚司農政林務課課長、同課森林認証担当の徳正修一参事も同席され林業再生に取り組む現状を聞いた。
 まず、中村係長のヨーロッパ視察の主目的は、今後の行政面での展開にフォーレストスクール計画の案件を調査目的として参加したもの。紋別市の立木の現状は、カラマツ、トドマツの40年~50年生で、いわゆる主伐期を向かえている。人工林率は42%で林地としては平坦とまでは言わないが林業機械での作業はし易い、国有林の方が急峻な地形が多いところにあるという。
 過去、カラマツ、トドマツ類は坑木等に多く用いられたが、鉱山等の閉山に伴い需要は激減した。両樹種は他の用途に用いるには加工し難い欠点をもっていたが、現在は人工乾燥及び加工技術の進歩で集成材やムクの柱材や住宅部材の用途やその他に対応できるまでになった。しかし、道内の製材業者は市況や需要の悪化で減少の一途を辿り、林産地であった地域の過疎化が進み深刻な問題が顕著に表れている。そうした中で生き残りを掛けている地元企業は自助努力により良質な製材品や集成材製品の生産量は増加しつつある状況にある。
 こうした民間の前向きな生産活動の背景に、紋別市として林業施策の川上から川下まで一貫したバックアップ行政が緊急課題となっている。国が進めている森林整備の核となる制度が、この地域の下地となる風土の理解を深められるか、そして国の制度と如何にマッチできるかを、ペーパーを見ていただけでは判らない。今回のヨーロッパを訪問した体験から一例を上げると、それぞれの国では林業機械を駆使して効果的な生産性を上げている機械であっても、そのまま紋別地域に採り入れた場合、即、戦力として使えるか検討する必要がある。そして今後の森林施業の計画に役立つ方向を見極める資料として、全く新たな林業展開の方向を構築するのか、或いは旧態の施業方法とミックスする採り入れ方がいいのか、それぞれの観点から課題をクリアする方向性を探りたいとしている。
 (中村係長のヨーロッパ視察内容は当サイトの寄稿を参照されたい)

「緑の循環森林認証で地域おこし」のテーマの下、成果を徐々に上げる
 同席された野呂田課長の資料(北海道自治研究10-7月)の一部を抜粋しで紹介しよう。
 1993年(平成5年)に近隣の七市町村(紋別市、遠軽町、湧別町、滝上町、興部町、雄武町、西興部村)の森林を繋ぐ「網走西部流域」の自治体、林業、林産業関係者が集まり、流域内の森林の整備、林業事業体の再編・体質強化、事業量と労働力の調整など、山づくりから加工、流通までの一貫した林業生産活動の活性化を図るべく「網走西部流域森林・林業活性化協議会」を立ち上げ、現在まで一体となって活動を展開してきている。
 「森林認証を活用した地域おこし」の取り組みは、広大な森林資源を背景とした流域と連携することにより、加速度的な拡がりをみせることとなった。しかし、市場へ流通させていくためには、流域に最大の森林面積と素材生産量を有する「国有林と道有林」の認証が不可欠であることを実感し、「網走西部流域森林・林業活性化協議会」に諮り、広域の取り組みへと拡大強化することが決められた。これを受け、ついに流域内の森林面積の三分の二を占める国有林・道有林の森林認証取得が叶い、2007年(平成19年)12月、29万3000haの「日本最大の森林認証エリア」が誕生した。2011年(平成23年)3月現在、滝上町町有林の取得や一般民有林の取得もあって森林認証エリアは計30万7000haに上っている。
 こうした経緯を踏まえて今後は循環する森林経営を背景に、より厳しい基準で乾燥された木材製品を提供し、信頼と安心の「オホーツク産・認証材」として地域ブランドを構築することが最も大切なことと考えている。

森林認証材で大規模牛舎を建設
 森林認証担当の徳正参事は、網走西部流域での認証林は森林面積約38万haのうち約31万haの認証率80%までに至った。この森林認証SGEC材を地材地消の取り組みを活用した実用例として、JAオホーツクはまなす農協が紋別市沼の上地内6haに、事業期間平成19年度から23年度に総額19億8400万円(草地整備費含む)を投じて計画した木造による哺育・育成牛舎群「オホーツクはまなす農協哺育・育成預託牧場」の10棟の牛舎ほか堆肥舎棟、管理棟が完成した。
 ちなみに牛舎建築にはカラマツ認証製材品が、平成22年度実績で1,383㎥使用された。牛舎建設に当たりコスト面はもとより木造の牛舎は牛の生育にとっても良い環境を育み、今も見学者は絶えないという。
 なお、はまなす牛育成牧場に利用した森林認証材は平成22年度実績で原木総量3,656ha。内訳:民有林=住友林業フォーレストサービス㈱722ha、滝上町有林166ha、紋別市有林1,924ha、国有林146ha、道有林600ha、オホーツク中央森林組合98ha。
製材使用量1,383ha。製材加工量内訳:佐藤木材工業㈱673ha、横内林業㈱紋別事業所374ha、置戸林産流通加工協同組合連合会265ha、協同組合オホーツクウッドピア31ha、その他40ha。
最終年度の23年度には牛舎1棟の建設が予定されている。
 今後は、こうした大型構造物ばかりでなく一般住宅へも大いに利活用してもらえる認証材の意義を広めていきたい。

医師滞在住宅見学会開く
 このほど認証材が一般に用いられた一例として、7月10日に「SGEC森林認証材を使用した休日夜間急病センタ-医師滞在住宅見学会」を開いた。
 医師滞在住宅とは「休日夜間急病センタ-」に勤務している医師が、紋別市内での医療に集中して取り組めるよう建築したもので、地域のSGEC認証材をふんだんに使用している住まいを、多くの市民に公開するため見学会を開催した。所在地は、紋別市渚滑町元新3丁目175-7。

森林認証制度
 森林認証制度(しんりんにんしょうせいど)とは、適正に管理された森林から産出した木材などに認証マークを付けることによって、持続可能な森林の利用と保護を図ろうとする制度である。環境ラベリング制度のひとつ。独立した第三者機関が評価・認証する制度である。木材産出地域の森林管理を評価する制度であることから木材認証制度とも呼ばれる。
 1993年に林業者、木材引取業者、先住民団体、自然保護団体などが集まり設立された国際NGO「森林管理協議会(FSC)」によって、提案された。(Wikipedia)

森林認証・ラベリングってなに?
 森林認証・ラベリングは、独立した第三者機関が一定の基準等を基に、適切な森林経営や持続可能な森林経営が行われている森林又は経営組織などを認証し、それらの森林から生産された木材・木材製品へラベルを貼り付けることにより、消費者の選択的な購買を通じて、持続可能な森林経営を支援する取り組みである。ラベリングした木材・木材製品の流通のために、流通に関与する者は消費者の手元に届くまでの各段階において、認証された森林からの木材・木材製品をそれ以外のものとは区別して取り扱う体制になっていることを認証されること(Chain of Custody認証:CoC認証)が必要である。 (林野庁HP)

CoC認証Chain of Custody
 FSCが「適正な森林管理」を認証した林産物の製品を普及させるため、製造、加工、流通の全ての過程において、認証材にそれ以外の材が混入しないように管理・製造されていることを認証するもの。認証された製品が市場に増え、購入が進むことによって、森林が守られ、森林の破壊や劣化を招くことなく木材消費が進むというシステムをCoC(Chain of Custody:管理の連鎖)と呼ぶ。認証された製品にはFSCロゴマークが表示される。
 認証材を使用した最終製品にFSCマークをつけるためには、生産・流通・加工に関するすべての企業がCoC認証を取得する必要がある。

紋別市
紋別市役所(北海道紋別市幸町2-1-18、宮川良一市長、TEL0158-24-2111)
URL http://mombetsu.jp/
 紋別市は、北海道オホーツク総合振興局管内にある市。市名の由来は、現在の市内中央部を流れる藻鼈川を指すアイヌ語のモベッ(mo-pet、静かである・川)から。日高振興局の旧門別町(現日高町)と読みが同じだったため、「オホーツク紋別」または「北見紋別」と呼んで区別する事が多い。
気候
 市街地があるオホーツク海側の沿岸部は冬も温暖、内陸部は寒暖の差が激しい気候である。オホーツク海側に面する地域では、夏季にフェーン現象により気温が上がり、夜になっても気温が25度を下回らないことがあり、1994年8月7日には最低気温が28.1℃[1]という北海道内で最も高い最低気温を記録している。 過去に熱帯夜も5回記録している。
産業
 農業(畑作、酪農)、林業、漁業(特に毛がに・ホタテ)、観光が発達。 かつては郊外の山間地において金、水銀などを産出し、東洋一の産出量を誇った鴻之舞鉱山(金)や竜昇殿鉱山(水銀)などを抱えていたが、資源枯渇などによりいずれも昭和40年代には閉山した。

     森林認証材を使用した
     医師向け住宅外観と室内
先進林業機械導入・オペレーター養成緊急対策事業で現地検討会
(於、佐藤木材工業㈱)が平成23年2月27日に行なわれた。導入機械:本体/PONSSE社(フィンランド)
/BEAVER(ハーベスターH60e)/クレーン・PONSSE社(同)
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