高周波フラッシュ接着機=山本ビニター株式会社
 室内木製フラッシュドア、クローゼット、家具などのフラッシュパネルの心材と表面材とを接着する装置である。製造現場の問題点を抽出し、正攻法かつ比較的容易な方法での改良を実現していることなどが評価された。
 以上の5点以外では、カメラ映像による画像解析を利用した装置(ダボ打ち機、スキャナー)、働き方改革を意識した装置(仕分け装置、NCルータ)、IoTへの取組などが選考過程で注目された。
 なお、何度も受賞歴のある出展者からの出品物が選考されるとともに、前回に続き、海外で開発された製品も含まれている。さらに、木材加工産業ならびに関連する産業の設備の合理化をも目的としている本展示会の趣旨を踏まえてダンボール加工装置も選考されている。これは、国内と海外を区別せず、加工材料も制限することなく、あくまでも審査基準に則って公平に審査した結果である。


 同展には、木材加工機械をはじめ刃物及び工具、乾燥機器、バイオマス関連機器等林業・木材関連の最新技術が集結した。また、時代を先取りするセミナー・シンポジウム・講演会や、主催者の2回目開催となつた「ウッドワンダーランド2019」は、子供も大人も学べる・楽しめるイベントを1号館ドーム会場で開催した。会期中の来場者は2万4千人余りと、前回展2017(平成29)年の来場者数を約20%上回る木材産業界全般の好況を反映してか久々に賑わいをみせた。
 主催者発表による出品者数は、172社(団体・機関含む)、出品小間数1043小間(同837小間)、出品国数18ヶ国・地域、参加企業は日本、ドイツ、イタリア、オーストリア、ロシア、フィンランド、オーストラリア、カナダ、韓国、台湾の多くを数えた。
 今回は、CLT(直交集成板)という話題の材料に対応する加工機械やカットサンプルなどが会場内に増え牽引力となったようだ。それに呼応するかのように出品物や来場者数は共に増え、開場と同時に来場者は日毎に絶えることなく担当者は対応に追われる光景も見られた。開場前にささやかれた出展者間の今回展はどうか?の心配を払拭していたようだった。前回大きく小間を取り出品していたメーカーも今回は小間の縮小がみられたが、その要因は生産が多忙を極め出品機械の調整がつかなかったとも聞いたが、特に目立ったのはアームロボット装置が増えたことだ。同ロボットによる加工精度の高さと安全性や効率化などに優れた製品のほかに台湾製の輸入機械・機器を取り扱う企業の出品機も増えたのは特徴的なことだった。ちなみに会場は展示ホール2号館と3号館に機械機器類をフルに使用した。
 ドーム型1号館に設営した「ウッドワンダーランド」に産官学展示コーナー、特別展示コーナーにスギ・ヒノキを用いたCLT製品、中でもドーム館中央に設置された㈱サイプレス・スナダヤ製のモニュメントや間伐材で製作した製品などやCLTパネルを用いた卓球台やオープンステージでのミニトークやライブなど盛りだくさんな内容にイベント効果を上げていた。
 なお、次回は2021年の開催を予定している。
 会期初日の10月3日、午前8時45分から交流センターエントランスホールでオープニングセレモニーが開かれた。まず同展の井本希孝理事長(飯田工業㈱会長)の開会宣言に続き来賓祝辞、テープカットが行なわれた。
開会宣言
 今回、後援をいただいた名古屋市の河村たかし市長、経済産業省、林野庁の来賓を始め、関係団体の協力を得ての開催を感謝しています。そして時代のテーマとしている「IoTやロボット」の応用が広まったこと、そして木材の良さをさらに知って欲しいと願い、隣接する1号館に「ウッドワンダーランド2019」をテーマに全国の学究機関や、機械業界のエンドユーザーの出展協力、次世代を担う地元高校生の見学に夢と希望のある産業であること、また、お子さんたちも楽しめる展示会として、今日からの四日間が皆さんにとって幸せな空間と時間を感じ取っていただければ幸いです、と開会宣言をした。
 テープカットは、河村たかし市長、経済産業省産業機械課長玉井優子氏、林野庁木材産業課長真城英一氏、同展実行委員長井上嗣夫氏、井本希孝理事長そして全日本木工機械商業組合福本寛之理事長、日本輸入木工機械協会長井浩司会長、日本機械鋸・刃物工業会渡邉将人理事長など業界団体の各氏が代表してハサミを入れ、開会を祝った。

 技 術 優 秀 賞 5 点 決 ま る
 技術優秀賞は4日に発表され、翌5日午前9時30分から贈賞式が1号館内特設ステージで行なわれた。受賞者には賞状と特製ブロンズ像が贈られ、その栄誉が称えられた。
 この技術優秀賞は、木材産業および関連産業の発展に寄与する独創的かつ付加価値を高める優秀製品を顕彰するため、1973年に創設され、今回で24回目となる。
 審査方法は、出展者から申請のあった13点の出品物について審査した。審査は木材・木材加工の学識経験者および木工機械の需要家からなる14名の審査員が行ない、出展者から申請のあった13点の出品物について審査した。提出された書類を各審査員が評価する個別書類審査、会場における合同現物審査を経て、技術優秀賞にふさわしい出品物として次の5点を選考した。
技術優秀賞審査講評
審査員長 金山公三・京都大学教授
 選考は、(1)技術水準(2)独創性(3)経済効果の3項目を中心として出品物を評価した。技術水準には、品質、開発の合理性や難易度のみならず、安全や環境に対する配慮も含めて評価した。独創性では、部分的に優れた独創性があるもの、萌芽段階であるが将来性が見込めるもの、特許出願の有無なども考慮した。経済効果については、付加価値や歩留まりの向上、省資源・省エネルギー・省力化、廃棄物処理、木材の有効利用への寄与など、多面的に評価した。このような観点から技術優秀賞として今回選考された5点についての評価は概ね以下の通りである。(順序はエントリー順)
構造用マイクロフィンガージョイントカッター
 =兼房株式会社
 フィンガージョイントの接合強度や安定性を向上させるために、従来よりも短いフィンガー長さに関する技術開発を行ったものである。豊富な基礎研究の蓄積に基ずくフィンガー形状の最適化と、その加工を安定的に実現する刃物の開発などが評価された。
乾燥単板AI板面検査&高速堆積システム
 =橋本電機工業株式会社
 光を利用した板面検査の性能向上を進化させた装置である。初代は反射光のみ、二台目は反射光と透過光の組合せ、そして今回は、従来の論理演算にAI判定を加えることで欠点検出能力及び処理速度の向上を実現して特許申請し、製造現場にも納入されていることなどが評価された。
PAQTEQ C-250=ホマッグジャパン株式会社/丸三商事株式会社
 梱包物の諸元を入力すると、ダンボール諸元の決定、「ミシン目加工」や「カット」等の一連の加工が自動的に行なわれる装置である。簡単な操作で多種多様なダンボール加工が可能で、かつ素材利用の最適化による省資源への貢献などが評価された。
単板自動選別機TH-8型トレジャーハンター
 =株式会社名南製作所
 10年前から進化させてきた単板選別装置であり、カメラ性能などのハード面での改良に加えて、現場の豊富なノウハウに基ずくソフト面でのアルゴリズム改良も進化させている。節穴は勿論のこと、ヤニ、入皮、カビなどの検出も可能とし、豊富な実績に繋がっていることなどが評価された。

 栄えある技術優秀賞の5点
  日 本 木 工 機 械 展
ウッドエコテック 2019
併催
ウッドワンダーランド 盛況裡に閉幕
PART-Ⅰ》
ブロンズ像について
「アフロディーテ」ギリシャ
神話の一人。美と豊穣を
つかさどる女神アフロディ
ーテノ誕生と人類の技術
発展の喜びを兼ね合わせ
万物より感嘆をもって祝福
される。
(制作:亀谷政代司氏)
高周波フラッシュ接着機 山本ビニター株式会社
単板自動選別機 TH-8型トレジャーハンターから
単板に投影された欠点の一例 株式会社名南製作所
PAQTEQ C-250 ホマッグジャパン株式会社/丸三商事株式会社
構造用マイクロフィンガージョイントカッター 兼房株式会社
わが国で長い歴史をもつ (一社)日本木工機械工業会(名古屋市中区大須4-11-39、
井本希孝理事長、飯田工業㈱会長)主催の「日本木工機械展/ウッドエコテック
2019」及びウッドワンダーランドが、令和(2019)1年10月3日から6日までの4日間
「ポートメッセなごや」(名古屋市港区)会場で3ホールを使用して開催された。
川上から川下まで木に関するあらゆる産業の技術とソリューシンが一堂に会する
イベントとして、「木の国・日本」をテーマに掲げた。また、併催の「ウッドワ
ンダーランド」も賑わいをみせた。
テープカット左から福本寛之、長井浩司、井上嗣夫、井本希孝、河村たかし、玉井優子、真城英一、渡邉将人の各氏
                                                                   Woodfast '19-10
技術優秀賞に贈られるブロンズ像
会期中エントランスホールに展示
次編PART-Ⅱへ
乾燥単板AI板面検査&高速堆積システム 橋本電機工業株式会社