　同展には、木材加工機械をはじめ刃物及び工具、集塵機器、バイオマス関連機器等林業・木材関連の最新技術が集結した。また、時代を先取りするセミナー・シンポジウム・講演会や、主催者の３回目開催となつた「ウッドワンダーランド2021」は、子供も大人も学生さんも学べる・楽しめるイベントを３号館内特設会場で開催した。
　会期中の来場者は約1万2千人余りと、やはりコロナ禍の影響を受けて前回展2019(令和1)年の来場者数を50％近く下回ったが木材産業界全般の今後に期待をかけ、まずまずの賑わいをみせた。主催者発表による出展者者数は、135社(団体・機関含む)、出品小間数874小間と前回の3割ほど少なく、海外からの出品者はコロナ禍の影響を受けてか参加企業は見当たらなかった。
　今回もCLT、集成材などの材料に対応する加工機械や住宅部材家具部材のカットサンプルなどが会場内で見受けられた。来場者は開場と同時に絶えることなくとはならず、担当者は対応に手持無沙汰の光景も見られた。開催前に心配されたコロナ禍の状況で出展者間に今回展はどうか？の心配を払拭するまでには至らなかったようだった。前回大きく小間を取り出品していたメーカーも相変わらずの小間を確保していた。特に際立った装置は特に見当たらないが、加工精度の高さと安全性や効率化などに優れた製品のほかに輸入機械・機器を取り扱う企業の出品機も増えたのは特徴的なことだった。ちなみに会場は展示ホール２号館と３号館ともにコロナ禍に対応のため出品を控えた企業によるブースの空きスペースがあった。
　３号館内に設営した「ウッドワンダーランド」の他に産官学展示コーナーは今回出展者も減少していた。
　会期初日の10月7日、午前８時45分から２号館ウッドワンダーランド内の特設ステージでオープニングセレモニーが開かれた。まず同展の松井忠彦実行委員長(アミテック㈱社長)の開会宣言に続き来賓祝辞、テープカットが行なわれた。
開会宣言
　今回は、後援をいただいた経済産業省、林野庁の来賓を始め、関係団体の協力を得ての開催を感謝しています。そして当会は「木と共に笑顔の未来へ」をテーマに木材産業のあらゆる技術とソリューションが一堂に会して応用が広まっていること、そして木材の良さをさらに知って欲しいと願い、２号館に「ウッドワンダーランド2021」をテーマに、機械業界のエンドユーザーの出展協力と次世代を担う学生さんの見学に夢と希望のある産業であること、また、お子さんたちも楽しめる展示会として、今日からの四日間が皆さんにとって幸せな空間と時間を感じ取っていただければ幸いです、と開会宣言をした。
　テープカット(写真)は、経済産業省製造産業局産業機械課長安田篤氏氏、農林水産省林野庁林政部木材産業課長斎藤健一氏、同展実行委員長松井忠彦氏、そして全日本木工機械商業組合福本寛之理事長、日本輸入木工機械協会長井浩司会長、日本機械鋸・刃物工業会渡邉将人理事長など業界団体の各氏が代表してハサミを入れ、開会を祝った。

2 0 2 1 技術優秀賞５点決まる

　技術優秀賞は８日に発表され、翌９日午前10時から贈賞式が2号館内特設ステージで行なわれた。受賞者には賞状と特製ブロンズ像が贈られ、その栄誉が称えられた。
　この技術優秀賞は、木材産業および関連産業の発展に寄与する独創的かつ付加価値を高める優秀製品を顕彰するため、1973年に創設され、今回で26回目となる。
　審査方法は、出展者から申請のあった16点の出品物について審査した。審査は木材・木材加工の学識経験者および木工機械の需要家からなる14名の審査員が行ない、出展者から申請のあった16点の出品物について審査した。提出された書類を各審査員が評価する個別書類審査、会場における合同現物審査を経て、技術優秀賞にふさわしい出品物として次の５点を選考した。
技術優秀賞審査講評
審査員長金山公三・京都大学教授
　選考は、(1)技術水準(2)独創性(3)経済効果の３項目を中心として出品物を評価した。技術水準には、品質、開発の合理性や難易度のみならず、安全や環境に対する配慮も含めて評価した。独創性では、部分的に優れた独創性があるもの、萌芽段階であるが将来性が見込めるもの、特許出願の有無なども考慮した。経済効果については、付加価値や歩留まりの向上、省資源・省エネルギー・省力化、廃棄物処理、木材の有効利用への寄与など、多面的に評価した。このような観点から技術優秀賞として今回選考された５点は以下の通りである。(順序はエントリー順)
■ＤＩＡ替刃式長尺錐＝兼房株式会社
■ループソー－i BT-48KT＝キクカワエンタープライ(株)
■省人、高品質単板横はぎシステム＝橋本電機工業(株)
■超大断面CLT加工機 MPS-71＝宮川工機株式会社
■高周波フラッシュ接着機 BONDEX-V＝山本ビニター(株)