環境品質への追求を目指し
Vカットによる住宅部材を専門に生産する株式会社クラフトワークの新工場(三重県伊賀市ゆめが丘7-9-3、久谷清孝社長、電話0595-24-1100)を、このほど訪ねた。
同社の経歴は、先代の父親が経営するテレビキャビネット、スピーカーボックス等いわゆる弱電の箱物工場であった。現社長の清孝氏(45)は、大阪の就職先から戻り、今から18年前の1993年(平成5年)に新会社を設立。これは父親が工場内の粉塵の中で働き、苦労する後姿をみながら育ったことから、『もし自分が木工の仕事を立ち上げるならば、父親の跡を引き継ぐのではない。あの苦労だけはしたくない』の思いが強くあった。反面教師になった訳だ。
同氏がクリエイティブな仕事が好きだったこともあり、事業を始めるなら、と積極的に機械の導入と技術の高度化に取り組んだ。その結果、Vカット加工
技術を駆使した内装ドア枠、間仕切り枠、間仕切り扉、ホームエレベーター、 窓額縁、玄関框、リホーム用パーツ、照明器具用パーツ等の住宅部材に特化した専門生産工場に。その中で最も生産の多い品目は、枠類で月産20万本を仕上げている。加工精度はコンマ以下を誇り、品質の良さは高く評価され、ユーザーの信頼を得ている。
製品はOEMが多いが、独自に提案する開発のものも、順次増えてきている。製品は多品種でも、肝心なことは工程管理をきっちりと決め、ジャストインタイムの生産体制を取り入れて、いかに無駄を省き、クレームのない高品質な製品づくり、を絶えず心がけている。
新工場建設に至る経緯を聞く
先ず、新工場建設の第一のきっかけは、約18年間本社及び工場(三重県伊賀市猿野832-2)としていたマシノ工場は、工場棟の隣地に倉庫があったため、公道をフォークリフト等が行き来していた。その間、一切事故もなく無事だったが、事故が無かったからそれで良いということにはならない。いつ起こるか分からない事故を未然に防ぐのも企業の責任であることと、近隣に負担を及ぼしたままで工場経営を継続していて許されるものか、を自答していた。
次に、得意先の需要や製品に対する要求が変化する中で、製造リードタイムが一日しか無いというジャストインタイム方式を工場の規範としてきた。朝、受注した製品は、その日に出荷して翌朝には得意先の指定センターに製品が届いている、というシステムを堅持している。しかし、受注量の関係で残業を余儀なくされた場合、近隣の民家に騒音等の迷惑を掛けていたことを、かねがね気を遣っていた状況であった。
基本的に近隣の住民との和を第一義に考えた時、この先5年、10年と製品を生産し続けなければならないスパンを考えると、工場環境を改善するには、整備された工業団地に移転する以外に方策はない、と今回の移転となった。この団地を選んだ理由は、この地域でコアとなる大型な計画団地で、県と市と(独)都市再生機構の三者が開発を進めていた、上野新都市「ゆめぽりす伊賀クリエイトランド」整備地H-3区画と契約をした。
こうして進出した当団地は、工業地域でありながら団地独自の自主規制として、騒音規制、環境規制など厳しい。この規制を遵守するとなると、初期投資も嵩む。これらの規制に対応するに越したことはないが、しかし、『今まで我々木工屋さんと言われる小零細企業は、工場の周りにはパレットが山積み、端材は置いたまま、集塵装置の音が高いが当たり前のような時代を過ごしてきた。この先企業として誇りを持って生き残って行くには、厳しい環境規制をクリアする努力が求められている』訳だ。
『いわゆる木工屋さんからいち早く脱皮しなければいけない』と考えたときに『費用は掛かっても、これからは環境品質の追求には必然の投資』と考えた。『お陰さまで、取引先は業界のトップ企業との絆があるから、それら得意先企業の要望に対応できるスキームやエビデンスの構築も必要であり、当然、人材の確保も大切にしていきたい』と、話す。
会社の概要
会社設立 平成5年(1993年)6月
資本金 2000万円
年 商 約15億円(本年度見込)
従業員 53名(パート、派遣を含む)
事業所 本社/工場 ゆめが丘工場
カシキ工場 伊賀市炊村1236
新工場の概要
敷地面積 11,935.23平方メートル
建屋概要 鉄骨造平屋建
延床面積 約1,950平方メートル
操業開始 平成23年5月
投資額 約4億円(土地代含む)
工場施設のあゆみ
工場施設のあゆみをみると、1998年には内装ドア枠自動ラインを導入して、枠材の自動投入から始まり、枠材の正寸カット、錐加工、鉤加工と流れ、NCにて丁番、ラッチ受け座加工の順となる枠材の加工ラインを導入。自動ラインは加工後、枠材に金物を取り付け、天枠やその他各部材とセットして梱包作業に進み、完成品はパレット積みのあと検査をへて、出荷となる。
2000年(平成12年)には、間仕切り用ドアパネル生産をスタート。タイプはフラットタイプと腰採光タイプとがあり、標準サイズの他に物件に合わせた特注製品も作る。中にはハンドメイドにて1枚1枚丁寧に作られるものもある。
主要設備機械メーカー
・アミテック株式会社・DKSHジ1ャパン㈱・株式会社オカベ・ホマッグジャパン㈱・合資会社協栄鉄工所・弥栄鉄工株式会社・庄田鉄工株式会社・㈱静岡機工製作所・株式会社東洋鉄工所・井上電設株式会社





Vカット技術で高精度な住宅部材を生産
団地内の騒音規制をクリアする静音タイプの集塵装置を導入 (井上電設㈱)
ストックサイロ(写真左端)SCD-5・収容量8㎥/バグフィルターBFR4×6・風量750㎥/min・防音BOX付
新工場建設の経緯を語る
久谷清孝社長
WOODFAST '11-5
伊賀市の紹介
伊賀市は、2004年(平成16年)11月1日に上野市、阿山郡伊賀町、阿山町、大山田村、島ヶ原村、名賀郡青山町の6市町村が合併(新設合併)して誕生した市である。
京都・奈良や伊勢を結ぶ奈良街道・伊賀街道・初瀬街道を有し、古来より都(飛鳥、奈良、京都など)に隣接する地域として、また、交通の要衝として、江戸時代には藤堂家の城下町や伊勢神宮への参宮者の宿場町として栄えてきた。地理的・歴史的背景から京・大和文化の影響を強く受けながらも独自の文化を醸成している。特に旧上野市にあたる市の中心部は歴史資産を早くから観光資源化することに成功したため、伊賀忍者の里、松尾芭蕉生誕の地として知られるようになり、昭和初期に再築された上野城や忍者屋敷、芭蕉翁生家、鍵屋の辻、だんじり会館などの観光名所を有し、特産品に伊賀組紐がある。また、市街地は戦災による破壊を免れ、小京都のひとつに数えられる。東京都の上野と区別するために、伊賀上野と呼ばれることがほとんどである。
地理 三重県の北西部に位置する。北東部を鈴鹿山系、南西部を大和高原、南東部を布引山系に囲まれた盆地(上野盆地)である。低地・台地は少なく、丘陵地が多い。木津川の上流域であり、滋賀県や奈良県、京都府に接することから、三重県の中でも名張市と共に近畿地方(関西地方)として扱われる場合がある。
カシキ工場 伊賀市炊村1236