編集子の印象
世界的に需要は頭打ち?
リグナ・ハノーバー2011を見学しての実感は、6年前の2005年辺りから出品者・来場者共に減少気味で、このことは前回の2009年に比べ、さらに10%減の様相を呈していた。最盛期からみると、厳しくみて約30〜35%減と言ったところか。流石のリグナも出品者の減少からかホール数も減り、空スペースも散見した。ホール間を周回サービスするシャトルバスの台数も減り、我々が前回まで利用したプレスセンターとしての建物も閉じられ、17ホールの一画に仮設されていた。またプレス専用車も減り、特段不便なことは無いが、これらメッセ会場全体が、費用節約に努めていたようだ。
世界的な経済下降傾向が当然のファクターであるが、2、30年前の会場の印象と比較すると、館内・外通路の溢れるばかりの人の多さや賑わい、館内レストランの数も減り席も取り難かった往時に比べると、来場者数の減少は否めない。出品されている機械類は毎回すばらしい進化を続け、歩留まりの向上や高付加価値を追及する生産性に対するニーズ以上の開発、と思われるくらい完成度が高い。それに比べ、現在の機械需要は横バイから頭打ち状態なのか。或る意味では、安定期に入っている、と捉えた方が多分にいいのかも知れない。
今回も特定な見方として、30数年前に多くの来場者の中に異様な井出達(いでたち)に見えた白シャツ以外は黒の帽子とベストにズボンの ↑
LIGNA part-Tリグナハノーバー2011を観る
黒装束、そして杖を持ったカーペンター(大工職人)の集団が、回を追うごとに激減しているように思う。自宅から100q以上離れた親方の下で、修行する徒弟制度による厳しい技術指導を身につけ、一人前を目指す若者が、時代と共に『減ったのかなぁ〜』。あるいは、職人技に代わるプレカット機械や他の加工機械の普及が進んだからかは定かでないが、ご承知のとおり我が国でも大工のなり手が減っており、共通した点があるのかも知れない。
さて、4年前の前々回は東欧諸国の需要、中でもロシアにおける設備投資は旺盛で、ドイツからの輸出は20%以上がロシア向けと言われていたが、このところめっきり減ったという。減ったというよりは、止まったと言う方が適切かも知れない。やはり会場ではロシア系の人たちは4年前と比べると減り、代わりに中国系の人たちが増えていたのが印象的であった。なお、日本からの来場者は回を追うごとにめっきり減って、寂しい限りだ。
各ブースでは活発な商談が交わされている様子も見えたが、いずれにしても出品物によって成果のばらつきは否めず相対的には低調なビジネス環境にあることだけは確かであった。ただ言えることは、流石リグナの規模は世界一の木材産業機械のイベントで、機械は進化し続けそのパワーは凄い。一見に値する価値は勿論ある。
軽量化構造の開発、
表面処理技術、
バイオエネルギーを注目



2011年5月30日〜6月3日にドイツ・ハノーバーで開催された世界最大の国際木工林業機械見本市「リグナ・ハノーバー2011」は、国際色を一層高め、成功裏に閉幕した。当ウッドファスト企画・主催の「インターツム&リグナ・ハノーバー2011視察ツアー」も参加、5月27日から6月4日までの9日間、インターツムからリグナ・ハノーバーへのAコースと、5月29日から6月4日までのリグナ・ハノーバーBコースの2つが設定され、所期の目的を果たした。(一部既報)
リグナ・ハノーバーのスローガン『革新的、効率的、未来志向的木材の利用と促進』は、来場者にも出展社にも納得のいくものであった。「リグナ・ハノーバーは、国際的に森林・木材産業を活性化し、業界に新機軸を打ち出した」と、ドイツメッセ株式会社取締役副社長・シュテファンPh.キューネ(以下キューネ)は、会期最終日の終了記者発表で総括した。「リグナ・ハノーバーはこの着実な展開によって、世界をリードする国際木工林業機械見本市としての地位をさらに強化した。ハノーバーの『リグナ』が、新製品を紹介し、画期的な製品で売上増を図るための新たなビジネスコンタクトを得る最高の場であることを、出展社も来場者も再確認した」とキューネは自信を示した。
マイン河畔のフランクフルトに本拠を置くドイツ木工機械工業会(VDMA)の会長Dr.ベルンハルト・ディル氏は、次のように述べた。「すばらしい見本市であった。とにかく業界のすべての分野が満足、あるいは非常に満足と回答していたし、外国からの来場者数も際立っていた。これによって国際木工林業機械見本市『リグナ・ハノーバー』は、自らに課した高いハードルをクリアーすることができた。業界の多くの競合見本市が出展社や来場者の減少に悩むなか、『リグナ・ハノーバー』は目覚ましい成長を誇示することができ、その重要性がさらに強化された。期待どおり資源節約の技術が主要課題となり、私たちが設定したこの課題が注目され広く認知された」。
展示面積約13万uに、世界52ヵ国から1,765社が出展した。ドイツ以外で出展社が多かったのは、イタリア、オーストリア、台湾を含む中国、スイス、デンマーク、トルコ、スウェーデン、オランダであった。13のホールと屋外展示場で多くのイノベーションが展示された。キューネは「『リグナ・ハノーバー』は新製品発表の見本市である。多数の企業が新製品開発のサイクルを『リグナ・ハノーバー』に合わせている。ここで紹介される新製品は顧客にとって本当に役立つものなのである」と付け加えた。
外国からの来場者が26%増加
「リグナ・ハノーバー2011」には約9万人の来場者が訪れ、全体で前回を13%上回った。同見本市は昔から国際性が高かったが、今年は外国人来場者数が大幅に増加。9万人の来場者のうち、約40%が外国からの来場者であった。これは前回(2009年)と比べ26パーセント増に相当する。キューネも「すばらしい結果だ」と述べた。世界90ヵ国から来場し、なかでも増加が著しかったのは、ロシア、フィンランド、イギリス、オーストリア、スイスであった。またアメリカやオランダからも来場者数も飛躍的に伸びた。
「来場者の二人に一人が上級幹部の購入意思決定権者のため、多数のプロジェクトが発足し、具体的な契約が結ばれ、価値ある新規ビジネスコンタクトが生まれた。具体的な成約は前回(2009年)と比べ30%も増加した。これはかなりの額である」とキューネは報告している。それに呼応するように、9万人の来場者の高度な専門知識と意思決定能力を出展社は高く評価した。
木材加工分野から、タウバービショッフスハイムのミヒャエル・ヴァイニッヒ株式会社を一例に挙げると、「初日と二日目だけで弊社ブースを訪れる外国からの来場者数は10%以上の増加を記録することができた」とし、また「売る側も買う側も前向きでその積極性を感じ取ることができ、また来場者の質もさらに向上した」とマーケティング/コミュニケーション部長、クラウス・ミュラー氏は総括する。
イタリアの大手企業の視点からも「リグナ・ハノーバー2011」は大成功であった。Cefraフィニッシング・グループの販売&マーケティング部のリッカルド・クァットリーニ部長は、次のようにまとめた。「開催早々、すばらしいビジネスコンタクトを得ることができた。これで2011年下半期の売り上げは安泰だ」。
SMCグループコミュニケーションズの部長、ラファエル・プラティ氏は、こう述べた。「過去2年間に及ぶ研究開発費への投資によって、ハノーバーで多数の技術的革新を展示することができた。今年、弊社は見本市出展50周年を祝う。戦略的観点から『リグナ・ハノーバー』は、弊社にとって国際的なショーウィンドーであり、弊社のソリューションをあたかもホームグラウンドにいるかのように、お客様にご覧に入れたい。弊社の5つのブースすべてで理想的な数の来訪者があり、弊社の新製品に対する非常に大きな関心を感じた。『リグナ』の成長が弊社の業務に今後も好影響を与えることを確信した。
テーマの適切さでポイント獲得
出展社は適切なテーマ−軽量化構造の開発、表面処理技術、そして木材からのバイオエネルギー−によって来場者の熱心な注目を集めた。
ますます増える木材業界のコンポーネンツ部門の中で、資源効率が最大のテーマとなった。またキューネは「今年の見本市で明確に反映された動向」をまとめたが、「リグナ・ハノーバー2011」の大きな重要テーマの一つに、例えば家具製造時の軽量化構造がある。「軽量化構造部門の弊社の新製品にとって、『リグナ・ハノーバー』よりふさわしい場を他に想像することができない。すでに開催2日目して全日程の予想を超えた。ハノーバーで、私たちはヨーロッパをはじめ南米やアジアの潜在的顧客やパートナーに会うことができた。ファイバーボードやパーティクルボード製造の弊社の技術に対する関心は非常に高いものであった」と、「リグナ・ハノーバー」に初出展したオーストリア企業、ダスカノバー・テクノロジー社のDr. トーマス・ヨスカック社長は述べた。
ホール24の特別展示「軽量ネットワーク」は、機械とコンポーネンツ納入業者とのつながりをテーマにした。中央には最終製品の家具を配置した。出展社は特別エリアに最新のテーマである軽量化構造の生産装置を紹介した。また、開催初日の国際軽量化構造会議で「軽量化を考える」が催された。
表面処理向けの新しいコーティング材など展示
工業用表面処理も「リグナ・ハノーバー」では大々的な展示が行われた。この技術におけるすべての分野、つまり、製造システムから革新的なコーティング材、補助剤、サービスに至るまで、すべてが分かりやすく展示された。来場者の特別な関心を引いたのが、デザインならびに表面処理の画期的方法である。特に高い個性を発揮するデジタル印刷を彷彿させる製品は、いずれも来場者から大きなニーズがあった。
ビュルケル社は、「リグナ・ハノーバー」を一貫してプラスに評価している。「今回は弊社にとって平均以上の成功であった。雰囲気もポジティブであり、期待通りであった。すでに会期中日で売上目標を達成できたので、見本市終了後のフォローで忙しくなる。とにかく弊社ブースの来場者の質は群を抜いていた」。こう語るのは、フロイデンシュタットのロベルト・ビュルケ社のハンス・ヨアイム ベンダー社長だ。
木材からのバイオエネルギー
木材からのバイオエネルギーは、見本市でもメディアでも大きな関心事であった。UNTHA破砕技術社の応用セールスエンジニアのアルノ・ウルバネック氏は、次のように述べた「『リグナ・ハノーバー』は弊社にとって成功だった。来場者の反響にも非常に満足している。バイオエネルギーのテーマは、エネルギーミックスの一環で非常に関心があり、業界では最新かつ重要なテーマである」国際BBE/VDMAの第3回バイオエネルギーに関する経済輸出フォーラムでは、世界中の専門家が国際バイオエネルギー市場の構築と展開のコンセプトを討議した。
成功した「見本市の中の見本市」
「Handwerk, Holz & mehr」は、「リグナ・ハノーバー」での家具職人、建具職人、大工を対象とした盛況な手工芸見本市である。ホールでは、出展社が木材工芸や木造建築に関するすべての分野の出展品を展示している。「前回と比べ、来場者の質も国際性も格段に向上している。販売数量に限って言えば、見本市の中日ですでに前回の販売総額を上回った」と総括する、ウェストファーレン地方ミンデンのウィルヘルム・アルテンドルフ機械製造有限合資会社のアンドレアス・プリョーガー社長である。
特別展示、フォーラム、会議
今年の見本市のハイライトは「国際森林年」であった。盛況だったこの会議では、ドイツおよびヨーロッパにおける持続する森林・木材産業のための戦略がテーマだった。欧州の6つの森林地域の13のプロジェクトパートナーで構成するEU森林革新プロジェクトは、「リグナ・ハノーバー2011」のもう一つのハイライトであった。「持続可能な森林・木材産業−欧州における知的、持続的、統合的成長のための基盤」と題する会議では、森林・木材部門の専門家が気候変動への挑戦や競争力の維持と強化のために練られた戦略を討議した。若者世代の養成は、「リグナ・ハノーバー」では大きな役割を演じた。「研究と教育」のプレゼンテーションの他に、特別ショー「木の不思議」の一環で若者世代賞「Young at Art=若者の技術」が授与された。また若者の催事「リグナ・タレント」では、参加した学生グループが夢中になれるような方法が考慮されていた。若い人たちの情熱と創造性は、映画、CNCプログラミング、ジャーナリズムの分野で印象深く発揮されていた。
「リグナ・ハノーバー」の多彩なプログラムには、「木材からエネルギー」ショー、薪の製造ライン、データフローチェーン、林業や木材産業での教育/トレーニング、クレーン操作選手権大会などの特別プレゼンテーション、そしてフォーラムや会議も含まれていた。来場者の間で非常に人気があったのがSTIHL(r)TIMBERSPORTS(r)SERIESで、これは森林作業員(きこり)が斧や鋸で木を伐採する技を競う国際的な競技会だ。
「リグナ・ハノーバー」に対するメディアの関心は極めて高く、世界43ヵ国からおよそ700人のジャーナリストが集まり、「リグナ・ハノーバー」の記事をハノーバーから発信した。新しく開設されたビデオサイトwww.ligna.tvには5000人以上の訪問者−そのうち半分以上がドイツ国外−が訪問し、ライブ中継や新製品に関する多数の報道を視聴した。またアクションフォーラムブースでのベクターでの上演も、いつものように来場者の大きな関心を呼んだ。
