講演は、当該産業の年産額等の推移を線グラフで表したレジュメで解説した。
・木材加工機械販売金額推移
 まず、当業界の販売金額は住宅着工件数の高低に比例しての動きがデーターで読み取れる。販売金額はバブル期の昭和62年の1,010億円をピークに右肩下がりのところへ、平成20年のリーマンショックでさらに落ち込み400億円余りとなった。近年は多少の増加をみせているが推移をみたい。
 次に木工機械の生産会社数と販売会社数は、両者とも昭和50年代にピークを迎えるが近年は前者は58社、後者は116社と減少した。会員の減少は双方ともに協力体制を如何に築くかが課題となっている。
・合板の国内生産量と輸入量の推移
 合板の輸入量は昭和55年代から増え、平成12年代をピークに、今はピーク時の70%程度の量に、代わって国内生産量が増えつつあるのが現状。
・製材業の主な指標の推移
 製材工場数でみると昭和50年代に2万3000社をピークに、今は5000社余りとなっている。その間、南洋材から国産材の加工にツインソーが主流となった。
・集成材の国内生産量の推移
 造作用、化粧柱、ベイマツ・カラマツ等の大断面、中断面、小断面、広葉樹フローリング集成材等々の用途開発の技術に優れ、今後も各場面での資源の有効活用が期待されている。中でも構造用の需要が伸びている。
・機械プレカットについて
 昭和55年代に大工職の仕口加工を、宮川工機、庄田鉄工等の開発による機械加工で職人不足を補ってきた。以来、機械の進化は目覚ましくプレカット工場数は700社余り、在来工法のプレカット率は88%と高い、次いで2×4工法と木質プレハブ工法と続いている。
・木質ボード国内生産量推移
 ハードボード、MDF、インシュレーションボード、パーチクルボード等が各部位で効果的に使用されている。中でMDFとパーチクルボードが建材分野で伸びている
・乾燥機納入実績
 今までは容量の小さな室数が多かったが、最近ではラミナの量的需要から容量の大きな装置が増えていることがデータでわかる。
 今後については、ロータリーレース後の単板ドライヤー、プレスの効率化、ダブルソーカットによる端材の歩留り向上等や製材工場における乾燥管理、グレーディングが必須になってきている。そして今やCLTが注目を集めている。また日本の林業現場に相応しい機械の開発が望まれている。
                              
(要旨文責:編集子)
  全国の木工機械販売業者118社で構成する全日本木工機械商業組合(東京都台東区浅草橋1-23-11、桑原柾人理事長=奈良・フソー㈱社長、03-5825-3630)は、5月29日、午後2時から仙台市市青葉区中央4-1-8のホテルモントレ仙台で第48回通常総会を開いた。
 総会は安塚公紀事務局長の司会で、まず、組合員総数117社、出席35社、委任状50社の過半数をもって総会の成立を告げたのち開会挨拶で野崎宏副理事長(東京・三雄工業㈱社長)は、本総会は東京部会が幹事として、ここ仙台での開催に東北支部各位の協力に感謝と総会が東北の地で開かれる初めてでもあり、本総会に闊達なご意見を賜りたいと挨拶する。
 続いて桑原柾人理事長の挨拶で、業界はフォローの風は吹いていると感じているところであるが、心を引き締めると同時に労働人口の減少する中で、設備投資の重要性と各位の当該業界に対する貢献が大切なことを説いた。次いで物故者に黙祷。そして高木基行副理事長(神戸・高木興業㈱社長)、沖副理事長夫々による議案審議が行われ各議案とも満場一致で承認された。
第48回通常総会議案審議は次の通り。
第1号議案 平成26年度事業報告の件
第2号議案 平成26年度収支決算報告の件
    監査報告の件、欠損金処理(案)の件
第3号議案 平成27年度事業計画(案)の件
第4号議案 平成27年度予算(案)の件
第5号議案 役員改選の件
 役員の改選では、一期2年を務めた桑原柾人理事長(フソー㈱)及び副理事長の野崎宏氏(三雄工業㈱)と高木基行氏(高木興業㈱)が再選され留任した。
第6号議案 その他の件
 なお、3号議案の27年度事業計画案は次の通り。

今年の主要事業
 (1)総会、研修会の等の組合イベントの積極的な参加を促し、組合の密接な交流と情報交換の場を増やし、組合員の結束をはかる。組合の海外研修(ハノーバー展視察)を実施する。
 (2)一般社団法人日本木工機械工業会、及び日本木工機械協同組合との交流に努める。関連業界団体が主催するイベントは積極的に参加協力し、業界発展につとめる。
 (3)関連省庁(経済産業省、林野庁等)との交流につとめ、政府の施策に関する情報を組合員に迅速に伝達する。
 (4)伝達手段として、組合のホームページを充実させ、迅速な情報提供が可能しなるようにする。
 (5)日本木工機械協同組合並びに業界他団体と協力して、政府に「要望書」を提出し、木工機械販売業の地位向上・需要拡大を図る。
1.組合強化事業
 (1)組合活動の基盤となる支部及び部会組織の活性化を図り、総会を開催し組合員の結束を促し、事業活動の充実・強化を促進する。
2.教育事業
 (1)全国中小企業団体中央会の補助金事業を活用して、組合員及びその従業員を対象に組合啓蒙活動として、「人材育成研修会」を開催し、参加者に組合への理解を深めてもらう。
 (2)国家試験、技能検定、機械木工「木工機械整備作業」を実施する。
 (3)業界の技術向上のため中央職業能力開発協会に役員及び技能検定委員を派遣する。
3.福利厚生事業
4.情報宣伝事業 等の各事業項目について説明した。


懇 親 会
 講演会終了後、市内の東洋館に席を移して懐石料理を味わい、二次会も用意されて会員間の親睦をさらに深めた。
 
 東洋館は、仙台市内から広瀬川を隔てた丘陵地の向山にある。 この地は伊達藩政の頃建立された大蔵寺の境内で、藩祖伊達政宗の御廟である瑞鳳殿に隣接するところ。
 創業は1907(明治40)年、当時のままの木造建築は、歴史の重みを伝える重厚さがある。
 各部屋から市内の景色を一望できて、春夏秋冬いずれの季節も味わうことのできる懐石料理で知られている。
(写真HPゟ) 
会場のホテルモントレ仙台(HPゟ)
講 演 会                
講師の井本希孝氏   
 
                                                                woodfast '15-6
全日本木工機械商業組合
 全日本木工機械商業組合
  第48回通常総会開く
 総会終了後に講演会が行なわれ「木工機械工業の現状と将来」と題して、(一社)日本木工機械工業会理事長の井本希孝氏(飯田工業㈱社長)が講演した。

総会会場
挨拶する桑原柾人理事長