■メルセデスベンツ・トラック「アロクス(Arocs)」
メルセデスベンツのドイツ本社は2013年4月、オランダで開催されたバウマ国際建設機械・建築資材製造機械・建設用車両専門見本市で、新型ダンプトラック「アロクス(Arocs)」を初公開した。
ベンツは長距離トラックの「アクトロス」、短距離のヘビーデューティダンプ「アントス」をラインナップ。
2013年からは、建設や農林業の現場で使用するトラックやトラクターを、アロクスと名付けた。
アロクスには7種類のキャブをはじめ、14の車種を用意した。搭載エンジンも排気量は7.7リットルから15.6リットル、出力は238psから625psの高出力まで合計16種類と用途に応じて揃えた。全てのエンジンが欧州のEURO6超低PM排出ディーゼル車の排出ガス基準を満たしている。
EURO6とは、自動車による大気汚染物質の排出規制値を定めたヨーロッパ連合(EU)の規定。
ロバート・ボッシュGmbHのパワートレイン テクノロジー担当取締役のロルフ・ブーランダーは、「EURO 6により、ディーゼル車はガソリン車並みにクリーンになる」。特に粒子状物質(PM)と窒素酸化物(NOx)の排出量の規制値が厳しくなる。2014年9月1日より、許容されるディーゼル車の1kmあたりの窒素酸化物排出量が、従来は180mgだったものが、わずか80mgとなる(ガソリン車は60mg/km)。
2015年1月1日からは、EUで新たに販売される新車は全て、このEURO 6の規制値をクリアしなければならない。(BOSCH社プレスリリース一部抜粋)
秋 田 県 鹿 角 市
北東北の中央に位置する鹿角(かづの)市は、盛岡駅からJR花輪線で1時間50分、同、高速バスで1時間25分のところにある。
秋田名物「きりたんぽ」の発祥の地であり、北に十和田湖、南に八幡平の国立公園がある。
ユネスコ無形文化遺産の大日堂舞楽や日本一の祭り囃子と称賛される花輪ばやしなどの祭り、多種多様な温泉、歴史の重みを感じる遺跡、ふるさとの温もりを感じる特産品等々、「非日常」に触れ合える街としている。
人口 33,243人(男15.630人、女17.613人) 2015(平成27)1月末
(鹿角市HPより)
加 工 工 場 ちょっと 見 学
チップキャンターシステムFK-5000 (㈱富士製作所)
工 場 棟
バーカー (富士鋼業㈱)
■鹿角森林組合 設立年:1967(昭和42)年8月
出資金:52,842千円
組合員数:2125名(平成25年度末)
職員・現業員:92名
◆組合長:関重征(せき しげゆき)氏略歴
1945(昭和20)年 鹿角市生れ
1987( 〃 62)年 関木材工業株式会社社長
( 〃 2011(平成23)年廃業)
2001(平成13)年 鹿角森林組合長就任
2001( 〃 13)年 株式会社 山麓管理サービス社長就任
2006( 〃 18)年 社会福祉法人 花輪ふくし会理事長就任
現在に至る
■重点課題
・森林経営計画の樹立
・高性能林業機械による生産体制の確立
・加工施設の整備とJAS認定工場としての生産体制の強化
・公益的機能の保続強化に努める
■組合の概要
旧八幡平村・旧花輪町・旧十和田町の各森林組合と、森林組合のなかった旧尾去沢街と小坂町を含めた鹿角一円の大同合併により、1967(昭和42)年に設立した。
地域は秋田県の北東部で、十和田・八幡平国立公園の真ん中にあり、自然環境に恵まれている。
管轄地域は、鹿角地域(鹿角市・小坂町)の総土地面積は、約8万8千ヘクタールで、そのうち林野面積が約7万ヘクタールと79%を占めている。国有林と民有林の面積割合は約7:3となっている。
民有林面積約2万4千ヘクタールのうち、人工林は約1万5千ヘクタールあり、人工林率の主体は「スギ」の木である。令級構成では、7令級以下が全体の82%を占めている。 (鹿角森林組合HPより)
鹿 角 森 林 組 合
秋田・鹿角森林組合
鹿角森林組合(秋田県鹿角市花輪字合野18-3、関重征・代表理事組合長、TEL0186-23-3315)は1月29日、午前11時から同組合内で日本では初めて導入した林業機械「移動式チッパー」車の実演と説明会に林業関係者ら56人を招いて開かれた。
Woodfast '15-2
イラストWikipedia
STR白山Z-1 (㈱共和キカイ)
モルダー KUWAHARA
丸棒削機 (エノ産業㈱)
高性能林業機械として威力を発揮する移動式チッパーは、ベンツ・トラックArocs(アロクス)に、オーストリアのMUS-MAX社製チッパーとグラップル(EPSILON-C70L)を搭載したもの。構成について関清明総務課長から仕組みと操作説明のあと、実際に長さ3メートル程度にカットした板材の束、10㎝下の丸太は数本、そして径が30㎝前後の丸太は1本のままそれぞれチッパーに投入した。投入材はいずれも1分も掛からず、チップになる速さは12トントラックの荷台が30分で満載になる処理能力の高さに、見学者からは“ウォー”という感嘆の声が上がった。

現場で操作説明を聞く皆さん

説明会場にて左から宮野秀和副組合長、関重征組合長、
㈱森林環境リアライズ専務の石山浩一氏
山をきれいにしたい一念で導入
実演のあと開いた説明会で組合長の関氏は、先代から受け継いだ広葉樹の加工工場を長年経営したが、主材としたブナ材が立木の販売止めとなり、その後、輸入材で賄ったが先々の不安定さから止む無く会社は2011(平成23)年に廃業した。その間の2001(平成13)年に当組合長に就任して14年になる。
組合事業の主体は針葉樹のスギで、自分が長年扱った広葉樹とは大きな違いがあった。それは造林地育成のため除伐、切捨て間伐だった。これらは全て山に放置した状態で事業が終了する。
さらに就任して思い続けたことは、林地に活用できずに放置したままの残材は、山の手入れもできなければ植林もできず、環境にも良くない状態であった。この林地の残材を現場でチップにして運び出せないかと、数年前に国内の機械業者に相談したところ、トラックにチッパー機の搭載とは別に発電機、さらにグラップルの取付けは機械屋の仕事でないと断られた。即ちチッパー機よりトラックと発電機、そしてグラップルで、はるかに高額になること、その上に納車後のメンテナンスはできないの回答で、断念した経緯があった。
現状は、木材市場でA材は製材用、B材は合板用、C材はパルプ・チップに分けられる。組合ではC材は経済面で扱っていないが、時代は択伐から皆伐の時代がいずれは来る。しかし、今は用材を伐採したあと林地に放置したままの間伐残材や枝葉など相当量が現場にそのままにしてある。それを集め輸送コストをかけて処理工場に運んではとても採算が取れない。要するに放置せざるを得ない状況にある。
また、日頃のニュースで洪水が流木を流し橋脚にひっかかる、或いは土石流に倒木が混じり生活圏を破壊している光景は、木材屋として見るに忍び難い心境になる。とにかく山をきれいにしたい一念が常にあり、林地で残材をチップ処理すれば皮付チップ、即ちクロチップと呼ばれて価格は安く流通の少ないチップにしかならない。ところが最近バイオマス発電が各地で盛んになり、このバイオマスにはクロチップが主流になりつつある。
そこで、いよいよ時代が来たものと、欧州では普段の林業で使っている移動式チッパーを求めて、一昨年の8月オーストリアのメーカーを訪問し、実際に見学して購入を決めた。そして待望の移動式チッパーが昨年の12月に到着して今日の見学会となった経緯を熱く述べた。なお、本格稼働は今春から予定している。
移動式チッパー車の主な仕様
■トラック:Mercedes Arocs 2042Ak 4×4 4200
・車体重量:10.5t
・排気量:12800cc
・エンジン:310kW(421ps)
・全長:7.8m
・幅 :2.5m
・高さ:3.8m
・燃料種別:ディーゼル
・最小回転半径:9.6m
■チッパー MUS-MAX WT8XL
・切削対応サイズ:G30~G50
・投入口サイズ:W0.6~W0.64
・処理丸太径:0.6m
・処理能力:90㎥/h~100㎥/h
■グラップル EPSILON KRAN C70L
・グラップルアーム長さ:9.4m
・重量:1500㎏

実演前のひととき
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実演開始 板材は束ねて投入
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細い径は数本まとめて投入
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太い径はそのまま投入
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凄い勢いで吐出するチップ
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粉砕されたチップの形状 |
地元紙の取材を受ける 関 組合長
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実演終えて車庫に入るチッパー車
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乾燥装置(㈱新柴設備)