50年先を見据え、
守り育てる循環型林業の構築を推進する
北海道・当麻町森林組合製材工場を訪ねて

 「組合員及び町民に愛される組織」を理念として70有余年を歩んで来た、当麻町森林組合(北海道上川郡当麻町4条東3-4-63当麻町農林業合同事務所内、中瀬亘代表理事組合長、電話 0166-84-2311)の製材工場をこのほど訪ねた。
 当麻町の民有林は、戦後の拡大造林の推進により約半分が人工造林である。林齢構成は40年生以上が大半であり、伐採の時期を迎えた林分が多く、これらの利活用について森林の計画的な伐採と木材の有効利用を進めるために、平成26年9月に策定した「長期ビジョン」により計画的に伐採を進め、収穫後は再び造林を行ない、下刈、除伐、間伐、主伐という循環型林業経営をスタートさせて、木材の有効利用と森林整備の着実な推進と山林の活性化を図っている。 
 町有林と私有林の人工林面積は3.224ha、蓄積量は746.000㎥あり、樹種はトドマツ52%の1.670ha、カラマツ30%の961haで、この両樹種で82%を占めている。齢級構成では9齢級以上が59%で面積は1.894ha、蓄積量は525.800㎥となっている。収穫した木材は組合の製材工場で加工し、町産材として町の公共事業、一般住宅など川上から川下まで町で事業を一括して行うことを目指す。
 地域の魅力ある資源を有効活用する木材の地材地消の取り組みとして、平成2011(平成23)年から、町内の公共施設、公民館をはじめ公営住宅の完全木造化、また個人向けの一般住宅など町産材への積極的な利用に取り組んでいる中で、製材工場は2014(平成26)年に、大断面集成材用・ラミナ材を中心とした製品に対応すべく、中・大径木加工の機械等に総事業費3億4878万円をかけて製材ラインを一新している。

当麻町森林組合概要
・役員数:理事8名、監事3名  ・事業内容:造林事業
・組合員数:249名             造材事業
・出資金額:51,444千円        木材販売事業
・事業総収益:735百万円        木材加工事業
・製材工場:従業員数 17名       その他事業

同森林組合加工販売課の森脇幸司課長に話を聞く
 現在、工場は針葉樹であるトドマツ、カラマツを主体にラミナと梱包材を主に挽いていますが、その前の昭和40、50年代は植栽された林分から間伐材が多く出材するようになり、その小径木を専門に製材するための工場でありましたが、ここ数年前から人工林の多くが伐期を迎えた8~10齢級のものが出材されるようになり、その大径に対応するために、2014(平成26)年にフランスMEM社製のチップキャンター付ツインバンドソーを導入して生産性と効率アップを図りました。
 現状は未だ梱包材用6、ラミナ4の割合としているが、将来的には逆の割合にしてラミナ中心にもっていきたい。製品のカラマツ材は東北・関東方面に多く出荷され、トドマツの供給は地元あるいは道内が主となっています。
 製品の生産量は年間1万3800㎥で、原木の消費量は2万9400㎥ですが、いずれ3万㎥を目指しているところです。長期的な視野としては、保有する森林資源の有効活用を50年スパンの中で計画を立てて、年間64haの皆伐と絶えず植林を行なうバランスの取れた策定で進めている道程にあり、将来的には全ての齢級が同じ面積になるように図っていきたい、と考えています。

   
     写真:森脇幸司 加工販売課課長(左)と近藤裕亮課長補佐

当麻町

製材挽き割り用ツインバンドソー/3ライン (石田エンジニアリング=2/CKS=1)

TOP

 製 材 工 場 見 て あ る 機

選木機

フィンランドVK社製リングパーカー

微妙なコントロールでフランスMEM社製キャンター付ツインバンドソーを操作するオペレーター (写真:上下6点)

クロスカット5連トリマー2台 (写真左右)

チップヤード

製品の出荷積み

 
動画紹介 オール当麻の力を結集「林業のマチ復権へ」2014年9月
       当麻町総務企画課まちづくり推進室 企画・撮影・制作
  
動画は下記タイトル4本を連続して見られます。

当麻町森林組合製材工場ラインの紹介    当麻町公民館「まとまーる」竣工の紹介
 循環型林業サイクル、ミズナラ伐採現場    ミズナラ利用の家具製作 カンディハウス

当麻町森林組合

 当 麻 町 一 口 メ モ

町の概要
 当麻町は、1893(明治26)年5月に、広島・山口両県などから屯田兵が入植し開拓された。
同町は北海道のほぼ中央に位置して、大雪山連峰を望み、豊かな森林と肥沃な大地に恵まれている。
農林業を基幹産業として発展を続け、現在では北海道一の食味を誇る米どころでもある。
 開拓以来脈々と受け継がれてきた「フロンティアスピリッツ」。その精神は活力あるまちづくりを
行う上での何よりの財産となっている。農業・林業・商業・工業・観光・スポーツなどあらゆる分野
でエネルギッシュな取り組みが行われ、21世紀を築く「ニューフロンティアの精神」は、町の大きな
誇りとしている。
アクセス 旭川市から北東へ15km、車で約30分の距離に位置している。山と河川に囲まれ、南西部
から北にかけては山林地帯を形成して、自然の丘陵が起伏しながら大雪連峰に連なり、自然に抱から
れた町である。人口は約6,760人(出典:同町HP)
屯田兵(とんでんへい) 明治時代に北海道の警備と開拓にあたった兵士とその部隊である。
1874(明治7)年に制度が設けられ、翌年から実施、1904(明治37)年に廃止された。

Photo:カフェ@宇夢

                                                                        Woodfast '16-10