Woodfast '17-08

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株式会社ハルキ

白山キャンター導入で建設した製材第3工場・建物左端にリングパーカー

リングパーカー ~ 原木投入

原木を3次元計測センサーで個々に形状を最適木取りに測定

最適化測定された原木が本機に

写真上 最適木取りされた角材1本と、5分板4枚は下に

 活躍する「白山キャンター450」製材システム

 地元「道南杉」の〝地材地消〟をキャッチフレーズに製材・プレカット・内外装材メーカーの(株)ハルキ(北海道茅部郡森町字姫川11-13、春木芳則社長)を訪ねた。
 同社は1903(明治36)年、祖父の助三郎が函館本線森駅近くの森川町で造材と薪の生産を生業とした時代から約1世紀が経つ。企業の形となるのは父芳松が1960(昭和35)年、春木製材所の名で製材業として枕木や床材、魚箱用などで創業したことに始まる。その後、1985(昭和60)年に現在地に本社工場を移転、業容も順調に推移していく中で、当時は外材の取り扱量が多かったが、転機となったことがあった。それは2004(平成16)年に道南を襲った台風18号の爪痕となった風倒木のトドマツ処理に関わったことが、外材から国産材へと徐々にシフトする切っ掛けとなった。こうして祖父の代から100有余年、一貫して木に関わる事業に携わってきた企業の三代目社長になる芳則氏に話を聞いた。
  
          
春木芳則社長
 まず、私たちが生活の上で必要とする「衣・食・住」のうち“住まい”を道内の皆さんに提供できる喜びと、雇用を通して企業としての責任を重く受け止めながら、製材工場を起点として、1994年に需要が見込めると道南杉でプレカット加工へ進出しました。2007年3月にはプレカット第二工場を、3年後の2010年3月には量産体制構築のため工場を新設しました。
 そして、今年3月に新設した工場に、ワンウェイ方式で角材1本と板材6枚が同時に挽ける(株)共和キカイ(石川県津幡町)の白山キャンター450システムを導入しました。このキャンターシステムによって予想を上回る製材品の木取りに効率と効果を上げています。
 次いで、6月にはプレカット工場に柱材加工機と間柱加工機をそれぞれ加えて、柱・梁兼用機が2台、柱加工機1台、間柱加工機2台、合板加工機1台(宮川工機㈱)となって、加工能力も月3000坪に能力が向上し、より一段と住宅用構造材の供給体制も高まリました。
 一昨年になりますがヴァイニッヒのモルダー・ユニマートシリーズ3機の導入で、モルダー加工の精度と効率化も図りました。また内外装材の性能に要求される準不燃・難燃に対応するために薬液注入に真空加圧含浸装置(㈱ヤスシマ)の導入により、昨年8月には準不燃・難燃の「道南杉羽目板」が国交大臣認定を受け、次いで今年1月に「道南杉の外装材に用いた防火構造」に、同じく国交大臣認定も取得しました。この認定は道内では初となりました。
 こうして機械と乾燥装置まで含めて約11億円を投資しましたが、丸太から製材、乾燥、加工、プレカットまでをトドマツ・カラマツ・道南杉で供給する体制が整いました。
 また、自然な木目が特徴の「道南杉ハル壁」は内外装材やデッキ材として需要を伸ばしており、これらを含めたトータル的な提案で資源を有効活用するための加工機械による加工範囲の拡充を図っているところです。
 今、思うことは“木”の応用は住まいや各種の施設に欠かすことのできない“材”としてあらゆる場面に用いられています。その木を軸に社会に必要とされる、様々な対応や利用を想定をしながら、工場の管理や展開に備えていかなければならないと考え、日々新たな製品開発に緊張感をもって臨んでいるところです。
 我が社の存在の意義としていることは、我々この地を渡島(おしま)・松前・亀田の三つの広域の総称を半島或いは道南と呼び、先人たちが植林し育ててくれた資源の森をアイヌ語でいう「オニウシ(樹木の多くあるところ)」という、豊かな森林資源の恩恵を、我々はムダのないように使うことを絶えず心掛けることです。この良質な資源は今のところ、道内がその多くですが、全国に広めていければと願っています

■会社概要
創業    1960(昭和35)年
法人設立  1989(平成1)年
敷地    240,000㎡(約72,600坪)
工場敷地  123,000㎡(約37,200坪)
原木消費量 トドマツ8,000㎥
      道南杉4,400㎥ 
年商    17億円(2016年)
従業員   90名

機械装備の充実で、方向性を着実に推し進める
道南の株式会社ハルキを訪ねて

プレカット機械(宮川工機㈱)

新函館北斗駅

北海道駒ヶ岳・大沼/渡島半島(写真・カット転載ウィキペディア)

プレカット/ハル壁 内装・外装材サンプル (写真ほか同社HPより)

 産業は漁業・農業が盛んであり、南は北斗市と七飯町、東は鹿部町、南西は渡島山脈によって厚沢部町に、西は八雲町に接している。 気候は盛夏でも30℃を越えることはまれで、厳冬でも-15℃まで下がることは珍しく、年平均7から8℃で、積雪も少なく、北海道でも温暖な地といえる。 資料一部引用ウィキペディア
 
北海道林業統計(平成29年5月)によると、渡島地域のスギの蓄積量は約700万㎥(北海道内の約三分の二)を、トドマツは約900万㎥、カラマツ約250万㎥と資源量に恵まれている。

 今回訪ねた森町の㈱ハルキは、2016(平成28)年3月26日に開業した北海道新幹線「新函館北斗駅」から車で約30分の緑豊かな駒ケ岳を望む位置にある。
 森町となった経緯には、文化・地理的にも結びつきが強かった森町と隣接する砂原町の2町が、一体的なまちづくりと将来の発展のため「森町・砂原町合併協議会」を設置し、検討・協議が進められ2005(平成17)年4月1日に、新しい町「森町(もりまち)」が誕生した。人口は約16.000人。

選別された角材は左端へ

同時に角をダブルアーバーギャングでラミナに再割りも可能

 取 材 一 口 メ モ

本社工場敷地パース

プレカット製品の出荷と本社事務所

真空加圧含浸装置 (㈱ヤスジマ)

乾燥装置 (㈱新柴設備)

製材第2工場 製材ライン 石田エンジニアリング㈱

モルダー・ヴァイニッヒ

ソーラーパネル

 住宅用構造材・道南杉内装材・外装材・デッキの生産性をバックアップするマシン