同展には、木材加工機械をはじめ刃物及び工具、乾燥機器、バイオマス関連機器、林業機械など木材関連の最新技術が集結した。また、時代を先取りするセミナー・シンポジウム・講演会や大学や研究機関による特別展示を併催するなど、総合的な木材産業技術展を目指した。会期中の来場者は1万5000人を超え、前回展2011(平成23)年の来場者数を約2割上回る、久々の賑わいをみせた。
 主催者発表による出品者数は、166社(団体・機関含む、前回展130社)、出品小間数761小間(同532小間)、出品国数4ヶ国(同8ヶ国・地域)に。参加企業(ドイツ30社、日本18社、イタリア10社、オーストリア10社、台湾6社、アメリカ5社、中国3社、フィンランド2社、インドネシア・カナダ・スイス・スウェーデン・デンマーク・フランス・ベルギー・ルクセンブルグ・タイ各1社)の多くを数えた。
 今回、出品者や来場者は増えたものの、長年出品していたメーカーも今回は出品を見合わせたところも散見された。要因は生産が多忙を極め出品機械の調整がつかなかったとも聞くが、主因は定かではない。それらのメーカーに代わる新規の出品者もあり、特に輸入機械・機器を取り扱う企業が増えたのは特徴的なことだった。なお会場スペースは、展示ホール3号館をフルに使用したが(前回はホール三分の二使用)、ホール内に産官学展示コーナー、特別展示コーナーなどにホールの約十分の一のスペース提供も、イベントテーマに功を奏していた。
 なお、次回は2015年11月中旬の開催を予定している。
 会期初日の6日、午前8時45分から交流センターエントランスホールでオープニングセレモニーが開かれた。まず同展の井本希孝実行委員長(飯田工業㈱社長)の開会宣言に続きテープカットが行なわれた。
開会宣言
 本展主催者の懸案であった、工業会の統一が各位の創意をもって昨年五月に成すことができ、ここに一般社団法人日本木工機械工業会主催の展示会が初めて開催されます。今回は新たに林業機械の出品者も迎え、これで川上から川下までの機械が揃ったことに感謝しています。そして全国の研究機関よりの参加は、夢の扉を開く、これからの日本、今日の日本を代表する出品展示をいただきました。今日からの四日間が皆さんにとって幸せな空間と時間を感じ取っていただければ幸いです、と開会宣言をした。
 テープカットは、井本希孝実行委員長(飯田工業㈱社長)、宮川嘉朗(一社)日本木工機械工業会理事長(宮川工機㈱会長)、安居実日本木工機械輸入協会会長(ホマッグジャパン㈱社長)、桑原柾人全日本木工機械商業組合理事長(フソー㈱社長)、渡邉将人日本機械鋸・刃物工業会理事長(兼房㈱社長)の各氏がハサミを入れ、開会を祝った。
技術優秀賞5点決まる
 技術優秀賞は7日に発表され、翌8日午前11時から贈賞式が館内特設ステージで行なわれた。受賞者には賞状と特製ブロンズ像が贈られ、その栄誉が称えられた。
 この技術優秀賞は、木材産業および関連産業の発展に寄与する独創的かつ付加価値を高める優秀製品を顕彰するため、1973年に創設され、今回で21回目となる。
 その審査は、木材・木材加工の学識経験者および木工機械の需要家からなる14名の審査員が行ない、出品者から提出された書類を各審査員が評価する個別書類審査、会場で出品物の検分と出品者からの聞き取りを行う合同現物審査を経て、技術優秀賞にふさわしい出品物として次の5件を技術優秀賞に選考した。
技術優秀賞審査講評
審査員長奥村正悟・京都大学名誉教授
 選考は、(1)技術水準(2)独創性(3)経済効果の3項目を中心として出品物を評価した。技術水準には、品質、開発の合理性や難易度のみならず、安全や環境に対する配慮も含まれる。独創性には、部分的に優れた独創性があるものや萌芽的であっても将来性が見込めるものも含まれる。経済効果については、付加価値や歩留まりの向上、省資源・省エネルギー・省力化、廃棄物処理、木材の有効利用への寄与などが含まれる。今回選考された5件(五十音順)についての評価は概ね以下の通りであった。
ヘリスクエア(強リード替刃式ヘリカルカッター)=兼房株式会社
コーティングした超硬合金の小替刃を強リード角(ねじれ角)となるように配置した植刃式のカッターヘッドで、小替刃の研磨形状によって切削面を平面とする技術開発などが評価された。
G29-Bティースキャナー=株式会社太平製作所
集成材ラミナなどにおける節、丸味、割れなどの欠点を検出し、欠点部を除去するカットラインを目的に合わせて設定できるシステムで、欠点を材色や樹種に関係なく、高速で精度よく検出できる機能などが評価された。
MPD-13サイディング加工機=宮川工機株式会社
これまでプレカットの対象に含まれていなかったサイディングの加工を可能にしたプレカットマシンで、表面に凹凸のあるサイディングの真空吸着装置、合板の加工にも対応できる柔軟性などが評価された。
MPS-55大断面加工機=宮川工機株式会社
大断面構造材のプレカットを可能にするとともに、特殊な仕口加工にも対応できるようにした多関節ロボットを用いたプレカットマシンで、今後の大断面集成材の需要拡大に対応できる機械として評価された。
アリストレースタクトタイプALT-4=株式会社名南製作所
最小投入原木径を80㎜とした、バックアップロール駆動ができる小径木用のベニヤレースで、最小剥き芯径10㎜を実現した独創性と技術力、そのことによる省資源への寄与などが評価された。なお、以上の5件以外では、原木の選別を自動化した機械、消費電力を低減させたNCルータ、熱圧時間を短縮する高周波接着機などが選考過程で注目された。
 今回の審査では、何度も受賞歴のある出品者からの出品物を選考することになったが、これはあくまで厳正な審査の結果であり、特定の出品者を特別扱いしたものではないと考える。ただし、技術優秀賞を木工機械工業界の発展にさらに役立てようとするのであれば、出品者の申請件数の
    技術優秀賞のブロンズ像
 わが国で一番長い歴史をもつ (一社)日本木工機械工業会(名古屋市中区大須4-11-39、宮川嘉朗理事長、宮川工機㈱会長)主催の「日本木工機械展/ウッドエコテック2013」が、2013(平成25)年11月6日から9日までの4日間「ポートメッセなごや」(名古屋市港区)会場で開催された。川上から川下まで木に関するあらゆる産業の技術とソリューションが一堂に会するイベントとして「木の国・日本、国産材加工の“すべて”を見せます」をテーマに掲げた。
woodfast '13-11
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テープカットの左から桑原柾人、宮川嘉朗、井本希孝(実行委員長)、安居実、渡邉将人の各氏
G29-Bティースキャナー=株式会社太平製作所
MPD-13サイディング加工機=宮川工機株式会社
アリストレースタクトタイプALT-4=株式会社名南製作所
MPS-55大断面加工機=宮川工機株式会社
ヘリスクエア=兼房株式会社
日本木工機械展/
ウッドエコテック2013 閉幕
制限、審査基準の見直しなど、工夫すべき点や改善すべき点について、今後も引き続き検討されることを望みたい。
 また、木材利用の拡大、国産材需要の拡大が叫ばれて久しいが、木材の利用は木工機械を含めた機械システムを抜きにしては始まらない。経済性、効率性、生産性にしっかり裏打ちされた機械やシステムが存在しない限り、真の意味で木材利用の拡大はあり得ない。日本木工機械工業会が主催するこの展示会が、新しい技術や情報の発信、同業あるいは異業種間の交流などを通じて、木材産業を発展させる礎となることを大いに期待したい。

技術優秀賞のブロンズ像について

 「アフロディーテ」ギリシャ神の一人。美と豊穣をつかさどる女神アフロディーテの誕生と人類の技術発展の喜びを兼ね合わせ万物より感嘆をもって祝福される。女神の手は、名誉を讃える月桂樹の枝を持ち、衣も軽やかに舞い伸び上がっていく形態とし、未来へのさらなる発展の可能性を予感させるような像とした。(制作:亀谷政代司氏)